ニュース 社会 作成日:2018年7月5日_記事番号:T00077978
台湾最高峰、玉山(標高3,952メートル)の山頂を目指す登山客の拠点として知られる山小屋「排雲山荘」の運営を支援する業者がこのほどフェイスブック(FB)上で、山荘から75キログラムの使用済みバッテリーを背負ってふもとまで8.5キロメートルの道のりを運ぶというアルバイト募集を発表した。報酬はバッテリー1個につき8,000台湾元(約2万9,000円)だそうだが、この過酷なバイトに既に7人の猛者が応募したという。
玉山の排雲山荘。75キロの荷物運送は平地でも大変なのに高山での過酷さはいかばかりか(4日=中央社)
玉山国家公園管理処によると、標高3,402メートル地点に位置する排雲山荘では今後、電力源を太陽光発電中心に切り替える方針で、既に工期4カ月の予定で施工業者への発注が行われたという。このため、不要になるバッテリーを山の下へ運んで廃棄処分する必要が生じたというわけだ。
玉山ではかつて、気象観測所や山荘への物資輸送、廃棄物の撤去に民間のヘリコプターが利用されていたが、2013年に墜落事故が起きて以降、航空会社が同業務を取りやめ、さらに軍用ヘリを民間の物資輸送に使用することはできないため、人力に頼るほかなくなった事情が今回のバイト募集の背景にある。
排雲山荘が廃棄するバッテリーは重さ75キロのものが28個、48キロのものが47個あるほか、30キロのアルミ製フレーム6個と25キロの充電器3個も「下山」させる必要がある。
ちなみに著名な山岳ガイド、谷明光氏によると、民間の登山家がポーター業務を請け負う場合、相場は30キロの荷物で1日4,000元ほどだそうだ。
今回のバイトはその2倍以上の重さの荷物を運ぶことになる。医師によると、坂を歩いて下りる際、人間の膝には体重の4~6倍の重さがかかるそうだ。このため体重75キロの男性が75キロの荷物を背負って山道を下った場合は、両膝に600~900キロの重さがのしかかるほか、前傾姿勢となることで腰にも約375キロの負担がかかり、膝前十字靱帯(じんたい)や腰椎を負傷するリスクが高いと警告している。
募集広告に予想以上の反響があったため、業者はあわてて「経験のない方、現地に不案内な方はけがを避けるため、応募をご遠慮ください」との但し書きを付け加えた。
今回応募した7人は、過酷な挑戦に「山男の血」が騒いだのかもしれないが、くれぐれもけがのないようにしてほしいものだ。
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722