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イノラックスが大幅値上げ、パネル反転の契機か


ニュース 電子 作成日:2018年7月9日_記事番号:T00078009

イノラックスが大幅値上げ、パネル反転の契機か

 液晶パネル大手、群創光電(イノラックス)は7月から、テレビ用など大型パネルや中小型パネルで最大10%以上の値上げを行った。サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会の効果、パネル市場の需要期入りや、サイズによる中国メーカーとの値下げ競争回避が背景にある。友達光電(AUO)、瀚宇彩晶(ハンスター・ディスプレイ)などの追随値上げも予想されており、台湾パネルメーカーの業績改善の契機となりそうだ。9日付経済日報が報じた。

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 イノラックスの楊柱祥テレビ・AII(車載・航空宇宙、IT、特殊用途)事業群総経理は、主要サイズのテレビ用パネル価格を調整したと認めた。40インチ、50インチ、58インチ、65インチで1桁の値上げと説明した。また、同社の下半期テレビ用パネル出荷は前期比22~50%増加すると見通しを示した。

 中国の液晶パネル最大手、京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)の第10.5世代工場稼働などで市場のパネル供給量が増え、上半期のパネル価格は下落する一方だった。これについて楊柱祥総経理は、従来は大型パネル市場の先行きを悲観視していたが、同業の新工場は良品率に問題がある上、液晶ドライバICや受動部品の供給不足、中国政府の環境規制強化により、中国でのパネル生産拡大が減速していると指摘した。

 一方、同社はノートパソコン用パネル価格も小幅に値上げする。9月の新学期や、米国のクリスマス商戦開始日となるブラックフライデー(感謝祭翌日の金曜日、今年は11月23日)を控え、供給がやや逼迫(ひっぱく)しているという。

全画面スマホ楽観

 楊弘文副総経理は、同社の中小型パネルは大部分を値上げし、特に一部スマートフォンやタブレット端末向けは2桁の値上げと説明した。中小型パネル生産ラインは軒並みフル稼働で、顧客の全画面ディスプレイ(狭額縁設計のインフィニティディスプレイ)への切り替えが進む中、受注に追われており、来年は今年以上と見通しを示した。

 業界関係者は、最大手のイノラックスが値上げを表明したことで、AUO、ハンスターも適時オファー価格に反映するとの見方を示した。AUO、ハンスターは現時点で、値上げするか明らかにしていない。

【表】