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エバー航空の小松・宮崎定期便、6月1日就航


ニュース 商業・サービス 作成日:2008年5月30日_記事番号:T00007808

エバー航空の小松・宮崎定期便、6月1日就航


 長栄航空(エバー航空)の台北(桃園国際空港)~小松(石川県)線と台北~宮崎線が6月1日就航する。石川、宮崎両県ともに知事が台湾を訪れ、地元をアピールするなど台湾人観光客の誘致に向けさまざまな取り組みを進めている。ただ両県とも、自然、温泉、食、文化など「売り」は他の観光地と似通ったものになりがちで、いかに独自の魅力を訴えて差別化を図れるかが誘致拡大の鍵となりそうだ。 


 新路線は共に、6月中は水曜日と日曜日、7月以降は水曜日と土曜日の週2便の運航となる。台北~小松線は、▽台北発14時10分~小松着18時00分▽小松発19時30分~台北着21時40分。台北~宮崎線は、▽台北発7時00分~宮崎着10時20分▽宮崎発11時30分~台北着12時50分、の運航スケジュールだ。

「おもてなしの精神」で細やかなサービスを

 ソウル、上海に続き3本目の海外定期便就航となる石川県は、2006年に12万1,330人の外国人宿泊客が訪れ、そのうち台湾からが6万5,216人と半数以上を占める(石川県観光交流局交流政策課)。同県は台湾人観光客をさらに多く呼び込もうと、10年前から官民共同の「観光ミッション」を展開してきた。旅館や旅行会社とともに台湾を訪問してPR活動を推進し、定期便就航決定後の今年4月には谷本正憲知事もトップセールスとして訪台ミッションに加わった。

 観光交流局交流政策課の北口義一専門委員は、台湾人観光客に向けたアピールとして、和倉温泉などの温泉地や立山黒部の富山などの豊富な名所を挙げたほか、「当地に根付く『おもてなしの精神』で細やかなサービスを提供したい」と話す。定期便開通後は空港ロビー案内カウンターに県内の台湾出身者を配置する予定で、旅館やタクシー業者などには石川県観光連盟作成の「おもてなしガイドブック」を配布して準備を進めている。

 

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山中温泉・鶴仙渓(石川県観光連盟)

共同バスを運行

 また、李登輝元総統が訪れた温泉旅館「加賀屋」は、台湾でも「一生に一度は加賀屋」という人もいるほど有名となっている。この「加賀屋」のある和倉温泉をライバルとみて誘致に力を入れるのが「加賀温泉郷」だ。06年のソウル線就航をきっかけに組織された加賀白山海外誘客推進協議会では、昨年3月に路線バスが廃止され、小松空港からの交通手段がタクシーのみとなっていることを危惧(きぐ)して、同温泉郷の旅館共同でバスを運行することを決めた。

 夕方6時に小松空港に到着した台湾人観光客を乗せ片山津温泉、山代温泉、山中温泉の各旅館へと案内する。推進協議会では、「和倉温泉へは約2時間がかかる。到着日は(時間が遅く)観光はできないので、まずは長旅の疲れをいやし、くつろいでほしい。その上で近さは売りとなる」と自信を見せる。目標は定期便キャパシティの約35%のバス利用だ。

2時間半で雪が見られる

 一方宮崎県の外国人宿泊客は、九州3大テーマパークと呼ばれたハウステンボス(長崎県佐世保市)、スペースワールド(北九州市)、オーシャンドーム(宮崎市、7年9月閉鎖)が人気を集めた97年の17万4,512人をピークに減少を続け、03年には5万3,596人にまで落ち込んだ。

 危機感を抱いた宮崎県は、外国人宿泊客のうち約20%を占めていた台湾人観光客のチャーター便による観光客誘致で実績を作り、台湾~宮崎線の定期便就航を目指した。宮崎空港と有明佐賀空港にチャーター便を交互に運航し、宮崎に着いた観光客が九州を縦断して佐賀県まで旅行し、有明佐賀空港から台湾へ戻るというプログラムチャーター便を就航させたこともあり、06年には外国人宿泊客が6万9,570人にまで回復した。福岡に続き九州で2航路目となる定期便の第1便には東国原知事が同乗して来台し、4日間の日程で政府、旅行業界、マスコミなどに向けてPR活動を行う。
 

 

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五ヶ瀬ハイランドスキー場(みやざき観光コンベンション協会)

 宮崎県観光推進課の山下栄次主幹は、セールスポイントとして「豊かな自然、宮崎牛、温泉、天孫降臨伝説など神秘的な土地柄」などを挙げたほか、「実は冬には雪も降るし、スキー場もあるんですよ」と冬の宮崎をアピールする。雪を見たことのない人が多い台湾人観光客を引き付ける観光地は日本にも数多いが、「2時間余り飛行機に乗れば雪が見られる」と気軽に訪れることのできる点を強みとしたい考えだ。また、定期便を使った「宮崎イン、宮崎アウト」型の観光客を増やすため、定期便のない熊本県や鹿児島県と連携し、南九州を巡る周遊コースの設定も進めている。

 ただ、両県ともに「就航後の反応を見て具体的対策を考える」としており、今後「地元ならでは」の魅力を見い出し、リピーターを獲得したいところだ。