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TSMC、ハイエンドスマホで7ナノ成長へ


ニュース 電子 作成日:2018年7月20日_記事番号:T00078242

TSMC、ハイエンドスマホで7ナノ成長へ

 ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は19日、今年通年の売上高予測を前年比7~9%増へと、4月時点の予測10%増から再度引き下げた。劉徳音(マーク・リュウ)董事長は、仮想通貨価格下落で採掘(マイニング)装置用ASIC(特定用途向けIC)の需要が弱まるものの、スマートフォン向けチップとGPU(グラフィックスプロセッサー)需要の予測は4月時点より良いと語った。下半期は7ナノメートル製造プロセスが牽引(けんいん)し、第4四半期売上高が過去最高を更新する見通しだ。20日付経済日報などが報じた。

/date/2018/07/20/00top_2.jpg魏総裁(左)と劉董事長(右)の2トップ体制で、張忠謀(モリス・チャン)前董事長が退任後初の業績説明会に臨んだ(19日=中央社)

 TSMCは、今年の設備投資見通しも100億~105億米ドルへと、従来の115億~120億米ドルより13%引き下げた。これについて何麗梅財務長は、▽一部先進プロセス設備の支払いを来年に延期、7億米ドル▽生産効率向上による設備購入費の削減、6億米ドル▽為替変動、2億米ドル──と説明した。

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 魏哲家総裁は、今年のファウンドリー市場予測は7%増に1ポイント引き下げたものの、メモリーを除く半導体市場予測は5%増で変わらないと述べた。

7ナノ構成比、年内に20%へ

 TSMCは、米アップルの新プロセッサー出荷で、7ナノ構成比は第3四半期に10%、第4四半期は20%、来年は20%以上に拡大すると予測した。7ナノ強化版は来年第2四半期にも量産に入る予定だ。5ナノプロセスは業界で最も早く、来年上半期にリスク生産を行う予定だ。

 証券会社は、今年下半期はアップルの新プロセッサー「A12」量産が成長を牽引し、来年はアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、クアルコム、エヌビディア、ザイリンクス、深圳市海思半導体(ハイシリコン・テクノロジーズ)向けの量産で、7ナノ売上高構成比が20%を超えると予測した。

 TSMCが同日発表した第2四半期の連結売上高は78億5,000万米ドルで、前期比7.2%減、前年同期比11.2%増だった。台湾元ベースでは2,332億7,600万台湾元(約8,500億円)で、前期比6%減、前年同期比9.1%増だった。粗利益率は47.8%で、前期比2.5ポイント下落、前年同期比3ポイント下落した。純利益は722億9,000万元と、前期比19.5%減、前年同期比9.1%増だった。製造プロセス別の売上高構成比は、▽7ナノ、約1%▽10ナノ、13%▽16/20ナノ、25%▽28ナノ以下、合計61%──だった。

AIなど、数年内にスマホ超え

 劉董事長は、今後の成長エンジンは▽スマホ▽高性能計算(ハイパフォーマンスコンピューティング、HPC)▽IoT(モノのインターネット)▽カーエレクトロニクス──の4本柱だと繰り返した。

 HPCは、人工知能(AI)や仮想通貨向けの成長で、今年の売上高は前年比40%増、構成比は25%まで拡大し、今後数年以内にモバイル端末向けを上回ると予測した。一方、モバイル端末向けの今年の売上高構成比は40~43%と、昨年の約50%から縮小する予測だ。IoTと車載用も前年比20%増と力強い成長を見込み、構成比はそれぞれ6%の予測だ。

 5月に出荷を開始した中国の南京工場について何財務長は、月産能力2万枚がフル稼働になれば、工場を拡張する可能性もあると述べた。

【図】