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18歳未満の世帯主1万人超、自立に必死


ニュース 社会 作成日:2018年7月20日_記事番号:T00078266

18歳未満の世帯主1万人超、自立に必死

 内政部の統計によると、台湾には18歳未満の「戸長(世帯主)」が1万1,638人存在する。その多くは病気などで親を亡くした子供や、両親が離婚し、身分証が取得できない外国人配偶者や大陸(中国)籍配偶者の下に暮らす子供だ。

 台湾の「戸籍法」によると、戸長に年齢制限はなく、戸籍を持つ者であれば誰でもなることができる。過去には0歳児の戸長も存在したそうだ。

 台中市龍井区に住む3姉妹は、早くに両親が離婚した後、家計を支えていた父親ががんを患って死去。残された姉妹は離ればなれになることを望まず、一番上の姉が18歳未満ながら戸長として、妹たちの保護者となった。幸い、同市社会局の協力を得て、各種補助を申請した他、心ある市民から寄付も寄せられたことで、3人は当面の生活に困ることはないという。

 一方、台北市の盲学校に通う未成年の学生も早くに父親をがんで亡くし、さらに母親が再婚して家を離れたため、中学生の時に「1人戸長」となった。また新北市に住む「小恵」は9歳の時に両親が離婚。父親は彼女とインドネシア人の母親を捨てて行方知れずになった。さらに母親は台湾へ嫁いできた際に戸籍を取得していなかったため、小恵が戸長にならざるを得なかったという。

 このほか戸籍をめぐる問題としては、毎年誕生する20万人余りの新生児のうち、2,000人以上が規定の60日以内に出生届が提出されず、戸籍が作成されない点が指摘されている。これらは何らかの原因で届け出が遅れたケースが多く、そのほとんどが当局からの催促を経て戸籍の登録を済ませているが、それでも両親や新生児の所在が不明のままというケースも年間100件を超えるという。

 なお台湾では年間約8,000人の新生児が、両親が結婚していない、いわゆる私生児の状態で生まれており、この中に多くの「無戸籍児」が含まれると考えられている。しかし、新生児は病院で生まれさえすれば、取り上げた病院には7日以内に監督機関へ報告する義務があるため、届け出がなくとも政府は出生の事実を確認することは可能だという。

 専門家はこうした「子供戸長」や「無戸籍児」の問題を放置すれば、今後、児童虐待や無理心中といった悲劇的な問題につながりかねないとして、戸籍事務所や警察、社会福祉団体などが協力し、社会全体で問題発生を抑止するよう呼び掛けている。