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クレーンゲーム店急増、東区商圏に没落の予兆


ニュース 社会 作成日:2018年7月23日_記事番号:T00078291

クレーンゲーム店急増、東区商圏に没落の予兆

 台湾有数の繁華街として知られる台北市の東区商圏(忠孝東路四段の復興南路交差点~光復南路交差点)で最近、テナント料の高騰で撤退する商店が相次ぎ、空き店舗に店内に多数のクレーンゲーム機を設置しただけの無人店が入居するケースが急増している。この現状に「商圏の面白みが失われる」「クレーンゲームブームが終われば、東区の衰退が加速する」などと懸念する声が出ている。

/date/2018/07/23/18kakomi_2.jpg行き過ぎた地価上昇によって、街の文化が消えていく(21日=中央社)

 東区商圏には遠東そごう3館(忠孝館、復興館、敦化館)や明曜百貨、微風忠孝(ブリーズ忠孝)など大手百貨店のほか、ファッションブランドの旗艦店、人気の飲食店や雑貨店などが数多く出店し、かつては台湾における流行の発信地だった。また、大手書店チェーン、金石堂書店の忠孝店や、24時間営業で知られる誠品書店(エスライト・ブックストア)敦南店など人気書店も多く、本好きが集まるエリアとしても知られていた。

 しかし2000年代以降の地価高騰で、エリア内の店舗物件の賃料は1坪当たり月1万台湾元(約3万6,200円)を突破するまでに上昇。これを受けて金石堂忠孝店が15年に閉店し、30年の歴史に幕を閉じたほか、誠品敦南店も20年での営業停止を予定している。韓国のカジュアル衣料ブランド「SPAO(スパオ)」と「MIXXO(ミッソ)」も今年、オープンから約3年での撤退を決めた。

 現在、東区商圏に出店するのは商品単価の高い高級服飾店が多く、人の流れは店舗の多様性がより高い西門町や信義区商圏に移っている。不動産仲介業者が今年4月に発表したデータによると、東区商圏の空室率は台北市内の商圏で最高の8.3%に上り、多くの商店が撤退したことが浮き彫りとなった。

 こうした中、東区商圏の空き物件には機器を設置するだけで運営することが可能なクレーンゲーム店が増えている。こうした店のオーナーはゲーム機を他の投資家に貸し出して運営を任せ、自身は毎月の賃貸料を得るという経営手法を用いることが多く、手軽さから参入業者が相次いでいる。

 しかし、クレーンゲーム店が増加すれば、ショッピングの選択肢が減少、商圏の利便性が低下することは明らかだ。専門家は、消費者の訪問意欲の減退につながると警鐘を鳴らしている。このまま賃料が下がらなければ、東区商圏はさらなる衰退に見舞われる可能性が高い。