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貯金はたいて救急車寄付、80歳女性に称賛


ニュース 社会 作成日:2018年7月25日_記事番号:T00078341

貯金はたいて救急車寄付、80歳女性に称賛

 澎湖県に住む80歳の女性、蔡陳美さんはこのほど、月3,000台湾元(約1万900円)の年金や子供からもらったお年玉などを節約し、長い年月をかけて貯めた貯金で100万元の救急車を購入。「多くの人を救ってほしい」と地元の三軍総医院・澎湖分院に寄付し、大きな称賛の声が上がっている。

/date/2018/07/25/18kakomi_2.jpg蔡陳美さん。「貴重な人命を救えれば、人生は幸福だ」と語った(24日=中央社)

 生まれてわずか3カ月で「童養媳」(将来の嫁として幼いうちにもらって育てる女児)として別の家に預けられたという蔡さんは厳しい人生を歩んできた。14歳のときに台湾本島へ渡り、使用人として働いた後、20歳で澎湖に戻り、22歳の時に2歳年下の夫と結婚。さらに義父が若くして水難事故で亡くなったことから、幼い義弟と義妹3人の面倒を見ることになった。

 結婚資金も人に借りなければならないほど生活は苦しく、蔡さんは結婚後も手内職を続けて家計を支えた。しかし彼女は苦労にめげることなく3人の義弟妹のほか、自分の子供11人を育て上げ、今では11人の孫にも恵まれている。

 ただ彼女は6年前に洗濯物を干していた際に屋根から転落するなど、これまでに3度、命の危険に直面し、そのたびに救急車で病院に運ばれ、一命を取り止めたという。

 転落事故の後遺症で現在も車椅子生活が続いているが、親孝行な子供や孫に恵まれ、夫も健在で、幸せな老後を送れる状況に「神様のおかげ」と感謝する毎日。蔡さんは「飛行機は買えないけれど、救急車くらいなら」と思い立ち、長年コツコツと貯めてきた貯金を全てはたいて彼女の命を救ってくれた三軍総医院・澎湖分院に救急車を寄付しようと決めた。

 寄付を申し出た蔡さんに対し、大切な貯金を全て捻出しようとしていることを知った病院側は、車椅子や一般の自動車にしてはどうかと勧めたが、彼女は「子供がみんな親孝行だから残りの人生に不安はない」と語り、決意を変えることはなかったという。

 そして24日、三軍総医院・澎湖分院で張芳維院長の立ち会いの下、救急車の贈呈式が挙行され、蔡さんは無事、念願をかなえることができた。