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記事番号:T00078420
2018年7月31日15:41

 伊藤忠商事は30日、台北市の超高層ビル「台北101」の運営会社、台北金融大楼(台北フィナンシャル・センター、TFCC)の株式37.2%を、中台で展開する食品・流通大手の頂新国際集団から取得する手続きが完了。台湾を代表するランドマークで、最大の民間株主に迎えられた。伊藤忠は9月に予定される臨時董事会で董事5人の派遣が認められる見通しで、出資比率過半の台湾の政府系株主と協力して同ビルの経営に当たっていく。31日付工商時報などが報じた。

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 伊藤忠によると台北101の株式取得額は6億6,500万米ドル。工商時報によると、同社は今年度分から得る配当金7億1,200万台湾元を差し引いて、実質の支払額は台湾元換算で195億元(約710億円)となる。

 出資までには、経済部投資審議委員会(投審会)が2月に行った認可から約半年の時間がかかった。手続きの遅れに対しては、▽同時に行われた伊藤忠から頂新への持ち株会社ティンシン・ホールディングス(英領ケイマン諸島登記)の株式17.8%の売却で、頂新傘下の康師傅控股の株価高騰によって売却価格の交渉が暗礁に乗り上げた▽頂新が、台北金融大楼の持ち株に設定された担保権を解除できない▽頂新が今年の配当を得るために、取引の先延ばしを望んでいる──などさまざまな臆測が上がっていた。

 しかし、頂新幹部は、伊藤忠側は康師傅控股の株価上昇にもかかわらず、売却価格の見直しを求めなかったと観測を否定。担保権解除も銀行への借入金返済によって7月25日に完了し、今年の配当金が伊藤忠側に帰属することも以前に取り決めていたと説明した。

 伊藤忠広報部はワイズニュースの取材に対し、台北101ビルに出資した理由として、配当金収入と不動産管理ビジネスの魅力を挙げた。ちなみに頂新は台北101への近年の累計配当額が22億3,000万元に達し、今回の売却利益が140億元超で、不動産投資としては大きな成功を収めた。

事業の重点を中国へ

 伊藤忠によるティンシン・ホールディングスの持ち株17.8%の売却額は4億4,000万米ドル。これにより頂新側の持ち株比率は約93%に上った。ティンシンは康師傅の株式約30%を保有する。康師傅は中国の即席麺、茶飲料市場首位で、昨年は増益率56%、株価は過去2年で3倍以上上昇しており、頂新は出資比率拡大でメリットを享受できる。

 頂新にとって、台北101からの出資引き揚げ、ティンシンへの出資比率拡大は、2014年に発覚した不正食用油事件を転機とした、事業の重点を台湾から中国に移行させる流れの一環だ。

 頂新は16年以降、台湾では中華票券大楼を売却、台湾康師傅は解散、味全食品工業の三重工場を処分、そして今回の台北101の持ち株売却で、残る事業は味全と通信キャリア、台湾之星電信(台湾スターテレコム)の2件のみとなった。しかも消息筋によると、現在赤字の台湾スターテレコムは、経営が軌道に乗った段階で売却することも選択肢に入れているという。

 一方、中国では17年に高層ビル、上海1788国際中心を約280億元で購入した。ティンシンへの出資比率引き上げによって中国での食品事業強化が見込まれる他、コンビニエンスストアの中国ファミリーマートに60%を出資、フライドチキンチェーンの徳克士(ディコス)も展開しており、中国事業のさらなる拡大が見込まれる。

【表】

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