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記事番号:T00078520
2018年8月6日16:05

 ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は3日午後、作業手順上の誤りが原因で、生産システムがコンピューターウイルスに感染し、新竹科学工業園区(竹科)などの5工場で生産が停止した。同社は5日、同日午後2時時点で既に約8割が復旧しており、きょう6日にも全面再開すると発表。生産停止による損失は、約2億6,000万米ドルとみられている。セキュリティー水準の高いTSMCでのウイルス感染で、サプライチェーンに緊張が走り、セキュリティー対策の見直しや強化が進みそうだ。6日付経済日報などが報じた。

/date/2018/08/06/00top_2.jpgTSMCのエンジニアは急きょ呼び出され、復旧作業に追われた(中央社)​

 TSMCは5日、ウイルス感染はハッカー攻撃によるものではなく、新設備にソフトウエアをインストールする際、操作上の誤りで、ウイルスに感染し、内部ネットワークに接続したことで感染が広範囲に広がったと説明した。データや機密情報への影響はないという。

 情報セキュリティー専門家は、生産ラインのネットワークは外部と切り離されているため、ウイルススキャン済みでないUSB機器の使用が原因ではないかと指摘した。

 またTSMCは、ウイルス感染による影響で、第3四半期の売上高は従来予測を約3%下回り、粗利益率は約1ポイント下がると見通しを示した。出荷遅延分については第4四半期に出荷するとして、通年の売上高見通しは維持した。

 従来の第3四半期売上高見通しは84億5,000万~85億5,000万米ドルだった。廃棄するウエハーは1万枚以上とみられる。

顧客に通知、納期は相談

 TSMCは、ウイルス感染について大部分の顧客に既に通知しており、納期などについて個別に相談すると説明した。

 サプライチェーン関係者によると、7ナノメートル製造プロセスの主要拠点、中部科学工業園区(中科)の12インチ工場Fab15の影響が最も深刻だった。この他、12インチ工場の▽竹科Fab12▽南部科学工業園区(南科)Fab14──、8インチ工場の▽竹科Fab3▽竹科Fab5────に影響が出た。

 ウイルス感染による生産停止で、下半期にスマートフォン「iPhone」新機種を発売するとみられる米アップルの他、▽聯発科技(メディアテック)▽アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)▽エヌビディア▽ザイリンクス──などの製品にも影響があるとみられている。

新経営陣の課題に

 TSMCが感染したウイルスは、昨年5月に世界的に感染が広がったランサムウエア(身代金要求型ウイルス)「WannaCry(ワナクライ)」に類するものとみられている。

 関係者によれば、感染の影響が大きかったのは、マイクロソフト(MS)のOS(基本ソフト)を用いたシステムだったという。6日付自由時報は、ウイルス感染が広範囲に拡大したのは、TSMCが「Windows7(ウィンドウズ・セブン)」のセキュリティー脆弱(ぜいじゃく)性に対して修正プログラムを適用していなかったり、感染経路となるTCP(伝送制御プロトコル)ポート445番を遮断していなかったりする可能性があるとして、TSMCの管理上の問題を指摘した。

 TSMCにとって、ウイルス感染が原因で生産に支障が出たのは初めての事態だ。今年6月に創業者、張忠謀(モリス・チャン)氏が董事長を退任し、劉徳音(マーク・リュウ)董事長と魏哲家総裁のツートップ体制に移行したばかり。内部統制の整備が、新経営陣が取り組む優先課題となりそうだ。

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