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記事番号:T00078568
2018年8月8日15:59

 中華航空(チャイナエアライン)と長栄航空(エバー航空)の操縦士(パイロット)が加入する労働組合「桃園市機師職業工会」は7日、賛成多数でストライキ権を確立した。組合側は、長距離路線での過労対策などを求め、労使交渉を続けているが、20日までに妥結しなければ、ストを行うと予告しており、中秋節連休(9月22~24日)の実施もあり得る。大手2社が同時にスト突入となれば、利用客数万人の足に影響が出る他、出荷の遅れなどで企業活動への打撃も懸念される。8日付聯合報などが報じた。

/date/2018/08/08/00air_2.jpgエバー航空パイロットで、桃園市機師職業工会の理事長を務める李信燕氏は、争いを望んでいないが、もし権益が無視され続けるようなら、ストに向けて突き進むしかないと述べた(7日=中央社)

 台湾の航空業界で操縦士のスト権確立は初めて。組合によると、賛成98%でスト権が確立された。組合員1,426人の投票率は85%、中華航空分会の賛成票は731票(98.6%)、エバー航空分会は454票(96.8%)だった。

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 組合は、長距離路線での操縦士4人体制や、「目の隈便(レッドアイ)」と呼ばれる深夜早朝便の発着時間変更などの他、中華航空に対しては▽年間30日の有給傷病休暇の付与──、エバー航空に対しては▽年間123日の休日保証や買い取り▽滞在手当(ステイ費)の増額▽春節ボーナス(年終奨金)4カ月以上の支給──などの待遇改善を求めている。

 両社は、引き続き組合との労使交渉を進めると説明した。会社側は、混乱を回避するためスト実施の2週間前に予告するよう求めているが、組合側はかつて、最短3日前に予告すると表明していた。

桃園空港、全面まひの恐れ

 両社はそれぞれ、台湾航空旅客市場シェア20%以上を占め、1日延べ約2万9,000人が利用している。2016年6月の週末に中華航空の客室乗務員が決行したストでは、2日で122便、3万人の足に影響が出たことから、大手2社の同時ストとなれば、その影響が上回ることは確実だ。

 業界関係者によれば、中華航空は機体88機、エバー航空は70機を保有しており、操縦士のストにより両社の機体が空港内に滞留すれば、駐機スペースが不足し、他社便にも影響を及ぼし、桃園国際空港の機能が麻痺(まひ)する可能性もあるという。

ハイテク業界、出荷調整も

 航空貨物への影響も懸念されている。中華航空の台湾航空貨物市場シェアは38%、エバー航空はシェア25%で、輸送量は中華航空が1日平均2,300トン、エバー航空は1,500トンに上る。

 液晶パネル大手、群創光電(イノラックス)は、部品は単価が高いため海運への変更は困難で、もしスト実施となれば、別の航空会社に切り替える構えだ。光学レンズの大手の大立光電(ラーガン・プレシジョン)も、別の航空会社利用を想定している。一方、あるIC設計会社は、ICチップは軽くて海運でも運べる上、顧客は在庫を豊富に擁しているため、影響は大きくないと指摘した。

 フォワーダー(貨物利用運送事業者)は、第3四半期は電子業界の需要期のため、仮にストが4~5日と長引き、スマートフォン用のカメラレンズなど電子部品やパソコン周辺機器などが出荷できなくなれば、サプライチェーン全体に影響が及ぶと指摘した。

 この他、ホテルや飲食業界も、高級海鮮物や果物が輸入できなくなれば、打撃を受ける見通しだ。

【表】

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