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公平会とクアルコム、課徴金問題で和解


ニュース 電子 作成日:2018年8月10日_記事番号:T00078624

公平会とクアルコム、課徴金問題で和解

 公平交易委員会(公平会、公正取引委員会に相当)が昨年10月に携帯電話用半導体大手の米クアルコムに対し、公平交易法(独占禁止法に相当)違反で、課徴金234億台湾元(約850億円)を科した問題で、公平会は10日午前、記者会見を開き、智慧財産法院(知的財産裁判所)でクアルコム側との和解が成立したと発表した。中央社電などが報じた。

/date/2018/08/10/01qualcom_2.jpg公平会は和解について、「台湾産業界にとって、最大の利益が得られるようにしたものだ」と説明した(10日=中央社)

 公平会の洪財隆委員は「公共の利益に基づき、智慧財産法院での訴訟で和解に達した」と述べた。課徴金の金額は27億3,000万元の分割払いへと大幅に引き下げられ、既に納付された。

 和解条件にはこのほか、クアルコムが期間5年の産業プランで台湾で投資協力を行うことが盛り込まれた。協力項目には第5世代移動通信規格(5G)分野の提携、新市場開拓、ベンチャー企業と大学による協力、台湾への運営・製造工程センターの設置が含まれている。

 公平会は「クアルコムが公平会、経済部、科技部など関係機関と緊密に連携し、プランを実施し、投資を実行する」とし、クアルコム側が示した投資計画が台湾の半導体、移動通信、5G技術の発展など経済全体の利益と公共の利益に資するとの認識を示した。

 クアルコムは今回の和解で、台湾メーカーへの標準必須特許(SEP)のライセンス付与に関連し、▽同意を強要したか不合理な内容の条項について再交渉を行う▽交渉期間に半導体チップの供給を拒否しない▽ライセンス付与で差別的待遇を行わない▽台湾のチップメーカーとの契約が公平、合理的かつ非差別的な条件(FRAND)を満たしていない場合、メーカーを提訴してはならない▽クアルコムの半導体のみを採用することや、顧客が調達する半導体チップの一定割合をクアルコムから調達することを権利金割引の条件としない▽公平会に半年ごとに定期報告を行う──の6点で合意した。

5G提携がストップ

 公平会は2017年10月、クアルコムがベースバンドチップ市場での独占的地位を乱用し、競合メーカーへの特許ライセンス供与を実質行わず、市場から聯発科技(メディアテック)などの締め出しを図ったなどとして、公平交易法違反で課徴金234億元の処分を下した。宏達国際電子(HTC)など携帯電話メーカーに対し、ライセンス契約締結をチップ供給の条件としたことも公正な競争を阻害したとして問題視された。課徴金は公平会設置以来の最高額だった。

 これに対し、クアルコムは昨年、智慧財産法院の処分の執行停止を申し立て、行政訴訟を起こしていた。また、工業技術研究院(工研院、ITRI)との5G提携がストップしていた。