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最低賃金5〜7%引き上げ、来年より時給150元以上


ニュース その他分野 作成日:2018年8月17日_記事番号:T00078748

最低賃金5〜7%引き上げ、来年より時給150元以上

 基本工資審議委員会(最低賃金審議会)は16日、2019年1月から最低賃金を引き上げ、最低月給は2万3,100台湾元(約8万3,000円)へと5%引き上げ、最低時給は150元へと7.14%引き上げることを決定した。産業団体、中華民国全国工業総会(工総、CNFI)は、企業の人件費が年間350億元増加する見込みで、物価が押し上げられ、失業率も上昇すると懸念を示した。特に最低時給の大幅引き上げで、パートタイマー・アルバイトの多い小売・サービス業への打撃が予想されている。17日付自由時報などが報じた。

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 現在の最低賃金は、月給が2万2,000元、時給が140元。労働部の試算によると、最低月給引き上げで180万1,400人(うち外国人労働者43万8,000人)、最低時給引き上げで45万6,000人、合計225万7,400人が恩恵を受ける見込み。企業の人件費は、最低月給引き上げで年間142億6,100万元、最低時給引き上げで64億2,200万元、合計206億8,300万元増える見通しだ。

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 許銘春労働部長は、消費者物価指数(CPI)上昇率、域内総生産(GDP)成長率などを参考に、若者や中高年労働者を考慮し、労使双方が歩み寄ったと説明した。

 外遊中の蔡英文総統はフェイスブック(FB)で、「低賃金の代名詞だった22K(2万2,000元)が過去のものになる」とコメントし、若い世代の境遇改善、低賃金脱却に向けた決意を示した。

中小企業の倒産懸念も

 工総の蔡練生秘書長は、最低賃金引き上げに加え、10月に電気料金引き上げが予想されており、コスト増を価格に転嫁せざるを得なくなると指摘した。

 財界団体、中華民国工商協進会(CNAIC)の范良棟秘書長は、米中貿易戦争など不確定要素が多く、下半期に景気が減速する兆しがみられ、最低賃金引き上げはマイナス効果をもたらすと指摘した。大企業は切り抜けられても、中小企業は製品の値上げや雇用の削減を迫られ、工場閉鎖や廃業もあり得ると語った。

 中小企業総会の李育家理事長は、台湾の企業の97%、143万社が中小企業で、サービス業が多いと指摘した。

 一方、労働者側の委員、全国産業総工会の荘爵安理事長は、いくらデータで根拠を示しても、使用者側が景気を理由に先延ばしを求め、結局、使用者寄りの結論になったと批判した。

/date/2018/08/17/00top_2.jpg労働部前では、最低時給182元を求めて、多くの労働団体が抗議活動を行った(17日=中央社)

コンビニ、人件費1割増

 最低賃金の時給は、07年に95元へと29元(43.94%)引き上げて以来で、最大の上げ幅だ。

 コンビニエンスストア最大手、セブン-イレブンを運営する統一超商(プレジデント・チェーンストア)は、コンビニ1店舗当たり人件費が1割上昇する見込みで、人材不足に追い打ちだと指摘した。

 全家便利商店(台湾ファミリーマート)は、発注支援システムや電子タグなど、スマート化で、労力を減らしていると説明した。

 量販店最大手、カルフール(家楽福)は、現在の月給は2万3,000元から、時給は142元からで、パートタイマー・アルバイトが3割を占めており、負担がますます増えると指摘した。

 ファストフード最大手、台湾マクドナルドは、従業員2万2,000人のうち9割がパートタイマー・アルバイトで、来年より人件費が増えると説明した。

【表】