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ハイウィン、産業用ロボットを完全内製化


ニュース 機械 作成日:2018年8月21日_記事番号:T00078804

ハイウィン、産業用ロボットを完全内製化

 産業用ロボットも手掛ける工作機械部品大手、上銀科技(ハイウィン・テクノロジーズ)は20日、産業用ロボットの重要部品、波動歯車減速機の量産に成功したと発表した。業界標準の耐用時間7,000時間を満たす波動歯車減速機の量産は、世界で3社目。これにより、産業用ロボットの内製化率が100%となり、コストの大幅削減と納期短縮が見込める。同社は、今年より毎年、産業用ロボット生産を倍増させると意気込む。21日付経済日報などが報じた。

/date/2018/08/21/00top_2.jpg卓董事長と、手術用の関節ロボットに搭載する波動歯車減速機(20日=中央社)

 ハイウィンによると、波動歯車減速機は多関節ロボットに広く使われており、関節ごとに必要で、産業用ロボットのコスト全体の約30~35%を占めるという。同社は4~5年前から研究開発(R&D)を開始、2015年に歯車切削工具メーカーの陸聯精密(ルーレン・プレシジョン)を買収し、昨年開発を完了した。

 ハイウィンの卓永財董事長は、ロボット価格は5年前の半値で、今後も競争が激化すると予測。さらに、スマート製造(スマートマニュファクチャリング)の広がりで、ロボット需要は19~20年に急成長すると予想され、同社は内製化によるコスト削減で競争に立ち向かうと述べた。

 なお、ハイウィンの産業用ロボット売上高構成比は現在1割未満だ。

外販、複数社と商談

 また卓董事長は、減速機はロボットの心臓といえ、スマート製造の必需品だが、従来は日本やドイツメーカーから調達しなければならなかったと指摘。今後、ハイウィンの産業用ロボットに搭載する他、外販も行うと述べた。既に複数の台湾の産業用ロボット大手と商談を進めているという。

 産業用ロボット大手4社の▽安川電機▽ファナック▽クーカ▽ABB──も、減速機を外部から調達している。精密減速機市場は現在、▽ナブテスコ(本社・東京都千代田区、寺本克弘社長)▽ハーモニック・ドライブ・システムズ(本社・東京都品川区、長井啓社長)──がシェア75%以上を占める。業界関係者によると、中国でも20社以上が波動歯車減速機などを生産しているが、いずれも業界標準には達していない。

 国際ロボット連盟(IFR)の推計によると、昨年の全世界の産業用ロボット出荷量は前年比29%増加した。20年には52万台に達する見通しで、産業用ロボット向け減速機の世界市場規模は5,000億台湾元(約1兆8,000億円)を超えると見込まれる。