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古紙価格下落、半日回収で弁当代にもならず


ニュース 社会 作成日:2018年8月31日_記事番号:T00079034

古紙価格下落、半日回収で弁当代にもならず

 中国が昨年末、生活ごみを含む廃プラスチック、未分別の古紙などの固形廃棄物の輸入を禁止したことで廃棄物輸入が大幅に増加していることを背景に、台湾では古紙の買い取り価格が急落。くず拾いで家計を支える人々から「生きていけない」と悲痛な声が上がっている。

 くず拾い業者が街頭や商店から回収したダンボール、ペットボトル、空き缶などを金銭に換えるために持ち込むある回収施設に、先ごろ「買い取り価格を0.5元引き下げる」との張り紙が出された。7カ月連続の引き下げだ。

 15年のキャリアを持つという同施設の経営者は、今年初めから製紙会社や貿易会社が古紙や廃棄物を海外から大量に輸入するようになり、くず拾い業者の生計に影響が出ていると指摘。こうした業者の多くは困窮した生活を送る高齢者が多く、現在では深夜から昼間にかけて半日間ゴミを収集しても、稼ぎは100台湾元(約360円)にもならず、弁当を1個買うのも厳しい状況だという。

 なお台湾域内における8月の古紙価格は1キログラム当たり1.5元、国際古紙価格は5.8元と、域内価格の方が大幅に安い。しかし輸入される古紙は分類が確実で、繊維の含有量が多く質の高い紙が生産できるそうで、原料の全てを域内で回収された古紙を使用するより「割に合う」のだという。

 廃棄物の輸入増に対し「諸外国の『ごみ捨て場』になっている」との批判が高まっている状況を受けて政府は、質の悪い廃棄物に対する規制強化を決めたものの、「廃棄物の輸入増はグリーン消費のトレンドが高まり、台湾が循環型経済のホットスポットとなっていることを意味する」などと肯定的な見方も示している。

 しかし回収業者などからは「循環型経済は『上の方の人』にとっては気分の良いものかもしれないが、われわれ末端の人間は苦しむだけ」と反発している。社会が変化する際に真っ先に打撃を受けるのはいつも弱い人々だ。政府も循環型経済の理想を語ると同時に、その影響にも考慮すべきだろう。