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女子バドミントン金メダル、台湾製ガットが快挙支える


ニュース 社会 作成日:2018年9月4日_記事番号:T00079083

女子バドミントン金メダル、台湾製ガットが快挙支える

 インドネシアのジャカルタで2日に閉幕したアジア大会のバドミントン・女子シングルスで台湾の戴資穎(タイ・ツーイン)選手が見事金メダルを獲得したことは記憶に新しい。その戴選手が台湾のバドミントン用品メーカー「ビクター」とスポンサー契約を結び、同社のラケットやシューズ、ウエアを使用していることはよく知られているが、ラケットに張られたガットも実は台湾製で、快挙を陰で支えたとして注目を集めている。

 戴選手が使用するガットを製造しているのは彰化県和美鎮に本社を置く耀億工業(YAOI)というメーカーで、ウィルソン、バボラ、プリンス、ヘッド、ヨネックスといった大手ラケットメーカー向け受託生産を手掛けており、世界で使用されるテニスラケットの10本中、8本に耀億工業のガットが張られているとも言われる。

 テニス市場が安定する中、同社は今後、さらなる発展が見込まれ、戴選手の知名度が生かせるバドミントン市場での事業拡大を狙っている。

 なお耀億工業の王賛景執行長によると、同社は彼が幼い頃、主婦だった母親が家計の助けにと靴ひもの製造を始めたことをきっかけとして1973年に創業した。当初は親戚から借りた5万台湾元(約18万円)で購入した機械を自宅に置いて靴ひもやストラップを作っていたそうだ。

 その後、台湾中部でテニスやバドミントン用ラケットの生産が盛んとなった際、台湾で作られるのはラケットだけで、ガットは全て日本から輸入しており、価格が高い上に供給不足に陥ることもあるという状況に目を付けた王執行長の父親が、日本からナイロン製ガットの製造技術を導入し、生産を開始したという。

 テニスラケットの材質が木からアルミニウム、カーボンへと変化するにつれ、ガットにも改良が求められたが、耀億工業では製造設備の改良や検査設備の導入に積極的な投資を行い、顧客から品質に信頼を得た。一方、こうした変化についていけない同業が相次いで撤退したこともあって耀億工業のビジネスは繁盛を極め、会社の玄関前には常にトラックが並び、ガットが完成するそばから出荷されていったそうだ。

 ただ90年ごろ、台湾では従来型産業への就業意欲が減退し人手不足が生じた他、労働関連法の改正で人件費が上昇。ニッチ製品のガットでも利益を上げることが難しくなり、釣り糸や草刈機用ナイロンコードといった分野に参入した。さらに最近ではスウェーデンの家具販売大手、IKEA向けに他のサプライヤーが5年をかけても作ることができなかった不織布製の収納ボックスを開発し、提携関係を結ぶことに成功。今後もますますの発展が見込まれている。