ニュース 社会 作成日:2018年9月11日_記事番号:T00079189
日本人の運動家、藤井実彦氏が先週6日、台南市に国民党が設置を主導した慰安婦像に蹴りを入れていたことが発覚し、国民党陣営の反発を招いている。10日は同党の台南市議らが日本台湾交流協会台北事務所に押し掛け、抗議活動を行った。台湾の識者からは、藤井氏の行動は国民党が慰安婦像を設置した理由の正当性を高めてしまい、反日ムードを広める好機を与えたため、非常に愚劣だったと厳しい指摘が上がっている。11日付聯合報などが報じた。
国民党の謝主委は藤井氏の行為を「日本人が慰安婦像に暴力を振るった」との説明付きでフェイスブック(https://www.facebook.com/TEL062268268/videos/523372064775362/)に公開した。「台湾政府はこの問題でもっと日本に強く対応すべき」といったコメントを多く集めている(謝主委FBより)
「慰安婦の真実国民運動」の幹事を務め、自虐史観の是正を目指す活動を行っている藤井氏は6日国民党台南支部を訪れ、敷地内の慰安婦像の即時撤去を要求するとともに、碑文に「慰安婦を強制徴用」「被害女性は約20万~40万人」など事実と異なることが書かれているとして、根拠の説明と台湾での公開討論会の開催を求める質問状を手渡した。
藤井氏は同支部を訪れた際、慰安婦像に蹴りを入れた行為が監視カメラで撮影された。これに対し、同支部の謝龍介主任委員(台南市議)は、損壊行為に対する刑事告訴と民事賠償請求を行うと表明。「必ず台湾で裁判を受けさせる」と怒りを強調した。
謝主委は10日、国民党立法委員らを伴って日本台湾交流協会台北事務所を訪れ、沼田幹夫代表が謝罪するよう要求。賛同する市民が事務所に卵を投げ付けた。夕方には、昨年4月に烏頭山ダム(台南市官田区)脇の八田與一(よいち)像の首を切り落とし、有罪判決を受けた李承龍元被告ら中華統一促進党のメンバーが同事務所にペンキをまき、男女4人が器物損壊容疑などで逮捕された。
藤井氏は10日、慰安婦像に蹴りを入れてはおらず、長時間車に乗った後、足がしびれたので屈伸運動を行っただけだと釈明した。その上で、国民党が画像をねつ造したとして抗議を行う意思を示した。藤井氏は8日に帰国しているが、内政部移民署は今後の訪台にはビザ免除措置を適用しない考えを示唆した。
「総統府前に慰安婦像を」
藤井氏の行為に対し、台南市長選挙の国民党公認候補者、高思博氏は土下座による謝罪を要求。同党の国民党市議らを伴って慰安婦像に献花を行うとともに、対立候補の民進党の黄偉哲氏に対し、問題への見解を明らかにするよう求めた。黄氏側は、広報担当である蔡旺詮市議が「国民党は歴史の怨恨(えんこん)を利用すべきでない」と応じた。
慰安婦像に礼をする高氏(左5)と国民党台南市議ら。国民党には藤井氏の行為を政治問題化させる意図がうかがえる(10日=中央社)
一方、台北市長選の国民党公認候補、丁守中氏は、当選した場合、総統府前の凱達格蘭大道に慰安婦像を設置する考えを示した。
中国の介入を警戒
台湾師範大学政治系の范世平教授はフェイスブック(FB)で藤井氏に対し、国民党を勢いづかせて慰安婦像設置の正当性を高め、反日ムードの盛り上げに加担する「本当に愚かな行為」と厳しく批判した。藤井氏は早めに丁寧な謝罪を行うべきで、さもないと中国の介入を招きかねず、その場合は日台関係への悪影響を軽視できないため、日台双方は慎重にこの問題に対応すべきと論じた。
藤井氏の事件は既に中国でも話題になっており、インターネットには「全ての中国人に謝罪せよ」「人民解放軍機が富士山に飛び、東京をかつての南京のようにしてこそ、中国を敵視する民族の問題を解決できる」といった書き込みが相次いでいる。
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