ニュース その他分野 作成日:2018年9月19日_記事番号:T00079346
トランプ米大統領は現地時間17日、中国からの輸入品2,000億米ドル相当を対象に第3弾の制裁関税措置を24日に発動すると発表した。中国は直ちに報復関税措置を発表し、米中貿易戦争は一段とエスカレートした。経済部は、米国による追加関税の直接的な影響は小さいとの見解で、鉄鋼や自動車部品、光学製品など10分野では転注のプラス効果が見込めるとの見方を示した。19日付工商時報などが報じた。
米国の対中制裁はいつまで続くのか関心を呼んでいる。施俊吉行政院副院長は、米国はトランプ大統領の任期後も、かつての自由貿易主義には戻らないとの見方だ(18日=中央社)
米通商代表部(USTR)によると、第3弾制裁関税の対象は5,745品目で、輸入額2,000億米ドルに相当、今月24日から10%の追加関税を課徴し、来年1月1日から税率を25%に引き上げる。今回の追加措置によって、中国からの輸入品の約半分に当たる2,500億米ドル相当が制裁関税の対象となった。
これに対し中国は18日、米国からの600億米ドル相当の輸入品に5~10%の関税をかけると発表し、反撃に出た。トランプ大統領はすぐさま、中国からの輸入品全てを追加関税の対象とする第4弾の制裁措置を警告し、貿易戦争は全面拡大へと向かう様相を呈している。
「大きな影響は受けない」
米国による第3弾制裁関税について経済部は、台湾への直接的な影響は大きくないが、中国の一部の台商(台湾系企業)が、台湾で中間財を調達して中国で加工、米国に輸出しているため、間接的に台湾の輸出パフォーマンスに影響を及ぼすと指摘した。また、▽ネットワーク機器▽ロー~ミドルエンドの自転車・部品▽石油化学製品▽工作機械▽ハンドバッグ──など、中国で生産して米国に輸出している台商は影響を受けやすいと説明した。
台湾全体としての影響は大きくないとの見方は、台湾経済研究院(台経院、TIER)も一致している。孫明徳・同院景気予測センター主任は「第3弾の対象は靴、バッグ、玩具、人形、化学品、紡織、食品など民生用品が中心で、中台間でサプライチェーンの関係が深いICT(情報通信技術)製品の割合は高くないためだ」と解説した。
沈栄津経済部長は、今回の制裁関税によって台湾への転注が見込める分野として、▽鉄鋼▽自動車部品▽光学製品▽モーター▽変圧器▽蓄電池▽ねじ▽ナット▽リニアガイド▽ハンドツール──を挙げた。
経済部は18日、台商の台湾Uターン投資を迎えるための対策会議を開いた。台商にとっては、労働力の確保が最大の課題とされるが、林三貴労働部次長は、Uターン企業に対し特別に外国人労働者の採用割当枠を増やすことは、公平の原則からしないと表明した。
米中への影響、分かれる見解
米中貿易戦争に対して、中国の電子商取引(EC)大手、阿里巴巴集団控股(アリババ・グループ・ホールディング)の馬雲(ジャック・マー)会長は「トランプ大統領の任期が終わっても20年続く」との見方だ。
台湾の経済評論家、謝金河氏も「米中の長期間にわたる冷戦が今後の世界の基本構造になる」との見方で、中国経済が甚大な打撃を受けるとの予測を示した。
一方、台経院の孫主任は「持久戦になれば米国が不利だ」と指摘した。孫主任は、アップルのサプライチェーンが制裁関税の対象となれば、米国が受ける衝撃の方が中国よりも大きいように、高関税に反対する米国企業が増えると予測。ウォール街も金融市場への影響から不満を強めるため、トランプ政権にとって圧力が形成され、今後の追加制裁の力強さに影響し得るとの見解を語った。
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