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石化業界の東南アジア拠点、米中貿易戦争で役割高まる


ニュース 石油・化学 作成日:2018年9月25日_記事番号:T00079425

石化業界の東南アジア拠点、米中貿易戦争で役割高まる

 トランプ米大統領が第3弾の対中制裁関税を発動、今後、中国からのあらゆる輸入品への制裁範囲拡大が視野に入る中、企業が中国から第三地への生産移転を進める流れが加速するとみられる。台湾石油化学業界では、これまでに整備してきた東南アジアの生産拠点の役割が高まる見通しだ。25日付工商時報が報じた。

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 台塑集団(台湾プラスチックグループ)は、中国の顧客への意向調査を行った結果、それらの企業がベトナムを筆頭に、バングラデシュ、インドネシアなどでの生産強化を計画していることを把握した。台プラグループはこのため、これらの国々において倉庫の拡大を図るなど供給体制の強化を進めている。

 同グループは傘下の台湾興業がベトナムに、南亜塑膠工業(南亜プラスチックス)が米国に工場を展開しており、生産の分散対応が可能なことから、米中貿易戦争の影響は大きくはならないとみている。

シンガポール投資200億元に

 長春集団(CCPG)は、シンガポールのジュロン島テンブス地区で新たに完成した2件の投資項目を合わせ、同国への投資額は200億台湾元(約730億円)近くに達した。酢酸ビニルモノマー(VAM)35万トンなどを生産している。

 長興材料工業(エターナル・マテリアルズ)は、マレーシアで年産9万トンの合成樹脂新工場を稼働させた。

 聯成化学科技(UPC)は、マレーシアで独BASFの年産4万トンのポリアミド樹脂(PA)工場、10万トンの可塑剤工場を取得しており、付近に新たに12万トンの可塑剤工場と倉庫、物流施設、埠頭(ふとう)貯蔵区も設けた。

 和桐化学(HTケミカル)は、今年インドネシアに倉庫付き工場を設けて販売を促進、同時にメキシコで洗剤原料のアルキルベンゼンスルホン酸、エーテル工場を計画している。

 ナイキ、アディダス、プーマなどを顧客とする合成皮革大手の三芳化学工業は、高雄市仁武、東莞(中国広東省)、ベトナム、インドネシアに生産拠点があり、顧客に合わせて柔軟な出荷が可能だ。

ベトナムが最も人気

 台湾企業の中国からの生産拠点移転先としては、ベトナムが最も人気を集めている。

 ベトナムは上半期の国内総生産(GDP)成長率が7.1%と2011年以降で最高となり、世界で最も成長力の高い経済体の一つだ。GDPの伸びをけん引するのは製造業と建設業で、それぞれ成長率は13.1%、7.9%を記録した。海外からの直接投資も大幅に増えている。

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 アナリストは、ベトナム経済の目覚ましい発展に伴い、インフラ建設や民生分野に関連する鉄鋼、紡織、石油化学などの業種が活気づくと予想している。こうした状況は、紡織や発電、ポリエステル繊維、鉄鋼などで累計146億米ドルのベトナム投資を展開している台プラグループにとって追い風で、グループのベトナムでの売上高は今年の39億米ドルから48億米ドルへの伸びが見込まれる。

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