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記事番号:T00079689
2018年10月8日15:43

 柯文哲台北市長が先週、かつて中国で「臓器狩り」のあっせんに関わったとの疑惑を指摘された結果、かえって有権者の同情を集めて支持率が上昇している。背景には、当選のためなら根拠のない中傷で対立候補をおとしめることもいとわない、既成政党が展開してきた選挙手法への反感がある。台北市長選挙は、若者を中心に人気を集める柯氏に対し、民進党、国民党とも有効な手だてを講じられない状況が鮮明になっている。8日付中国時報が報じた。

/date/2018/10/08/00top_2.jpg柯文哲市長。中間層は2人に1人が柯氏を支持している。陣営としては、大きな争点を作らず、このまま選挙戦終盤を迎えたいところだ(中央社)

 旺旺中時媒体集団が4~5日に行った世論調査によると、柯氏の支持率は41.6%で、国民党の丁守中氏の27.2%、民進党の姚文智氏の15.2%をリードしている。ちなみに5月末時点では丁氏40.2%、柯氏34.7%で、柯氏は丁氏の優位を逆転した。

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 柯氏は先週2日、中国で生きた人間から移植用臓器が摘出されているとする「臓器狩り」疑惑を告発した『殺処分(The Slaughter)』を著述した米国人ジャーナリスト、イーサン・ガットマン氏から、かつて中国で臓器移植のあっせんに関与していたと指摘を受けた。柯氏の声望を落とす意図は明白だったが、ガットマン氏の指弾は有権者に荒唐無稽と受け止められ、二大政党の政治家らも柯氏批判の材料として取り上げることを避けた。

 ガットマン氏を台湾に招き、柯氏批判の記者会見を開かせたのは『殺処分』の中国語版の版権を取得した出版社、蝴蝶蘭文創を経営する呉祥輝氏だ。独立派で、以前は姚氏陣営のメンバーだったと伝えられるため、民進党は今回の柯氏への「疑惑」告発と関係を免れないとの指摘が出ている。民進党は洪耀福秘書長が「一点の関係もない」と否定したが、柯氏は「信じられない」とコメントした。柯氏中傷作戦は失敗に終わった。

30代が圧倒的支持

 柯氏は5月に、民進党と決裂した原因となった「両岸一家親(中台は一つの家族)」発言を謝罪。お笑い芸人を起用したインターネット動画「一日市長幕僚シリーズ」が人気を呼ぶなど、ソフト戦術で若年層の心をつかみ、旺旺中時媒体集団の調査では、30代の支持率が78.4%と他の2人を圧倒。20代では48.6%、40代でも55.5%の支持を得ている。民進党陣営と国民党陣営の政治闘争に嫌悪を感じている中間層が、柯氏支持に流れていることも大きな要因だ。

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 もともと国民党支持者の多い有権者構成から当初優勢とみられた丁氏は、話題を作れず支持が上向かない。姚氏の支持率は10%台で低迷したままだ。

人気は相対的

 ただ、同アンケート調査では、柯氏が「当選する可能性が高い」との見方が60.5%に上る一方、「市長は別の人物に交代すべき」との回答も53.2%に上っており、柯氏人気は他候補との比較の上での相対的なものであり、個人が高い評価を受けているわけではないことが分かる。

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 何よりも柯氏は市政の実績が乏しい。台北文化体育園区(通称・台北ドーム)は工事再開への道筋が見えず、社会住宅(賃貸専用の公営住宅)供給の公約は実現せず、有権者の政策参加は不完全だ。このため、国民党と民進党は、今後実施される政見発表会や弁論会で政策論争を市長選の焦点に据えて、有権者の共鳴を得ることが、挽回への鍵となる。

【表】【図】

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