ニュース 社会 作成日:2018年10月8日_記事番号:T00079712
基隆市消防局では今年7月より、病院の医師と通信が可能な眼鏡型デバイスなどを含む先進的なスマート型救護システムを導入し、現場で試験運用を進めてきた。しかし現場の救急隊員などからは、「ネットワークへの接続が遅過ぎる」「眼鏡デバイスのケーブルがじゃま」などと不満の声が上がっている。
今回、台湾で初めて導入されたスマート型救護システムは、眼鏡型デバイスのほか、救護チームの指揮官が案件情報を確認できるタブレット端末、およびワイヤレス式の生体情報モニターから成る。
主に患者を病院で治療が受けられるまでに時間を要するケースを想定しており、現場の救護員が装着した眼鏡型デバイスによる映像や生体情報モニターのデータを通じて、病院の医師が患者の容体を確認し、応急処置に関する助言を遠隔で行うことができる。
特に災害などで多数の被害者が発生し、病院の受け入れ能力を超えた場合や、遠隔地の患者を長時間かけて病院までの搬送する場合などに効果を発揮することが期待されている。
ただ今回、このシステムを試験的に導入した基隆市は病院の密度が高く、ほとんど遠隔地が存在しない上、実際に使用した救急隊員によるとデバイスがネットワークに接続するまで時間がかかるため、システムが使えるようになる前に患者が病院に到着していることがたびたびあったという。
またエレベーターのないマンションなどに出動して、隊員が患者を背負って階段を下りていた際、装着していた眼鏡型デバイスのケーブルが何かに引っかかって落下し、壊れるケースもあった。
救急隊の任務は当然、一刻を争うケースが多いが、従来の担架や心臓マッサージ機などに新たな装備が加わることで、出動準備に時間がかかるなど、負担が増え、結局、救急活動に支障が出るという本末転倒な事態になりかねない。
現場から不満の声が上がっていることに対し、基隆市消防局の陳龍輝局長は、「スマートフォンなどと同じで最初は慣れないが、しばらく使っていれば慣れてくる」と強調。メーカーに操作性などの改善を求めた上で予定通り正式に導入すると表明した。
こうした最新設備は使い方次第で大いに効果を発揮すると思われるが、救急隊ではちょっとしたことが命を左右する結果となる。慎重な運用をお願いしたいものだ。
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