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「無給休暇」3千人急増、台湾生産車の不振で


ニュース その他分野 作成日:2018年10月17日_記事番号:T00079850

「無給休暇」3千人急増、台湾生産車の不振で

 労働部の16日発表によると、景気を理由とした労働時間削減、いわゆる「無給休暇(実際には有給を含む)」の実施を当局に届け出た企業は15日時点で19社、対象者数は3,490人と、2016年1月以降で最も多かった。9月末に比べ1社、3,006人の純増で、自動車組み立て最大手の国瑞汽車が2,700人余りとされる。輸入車の販売好調に対する台湾生産車の不振を反映しているようだ。17日付経済日報などが報じた。

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 いわゆる「無給休暇」は法律上の用語ではなく、労働部が半月ごとに発表する「景気の影響に対応するため労使協議により労働時間を削減する事業者と人数」の統計を主に指す。「無給休暇」は有給か無給かを問わない。月給制の労働者に対し最低賃金を下回る月給の支給は労働基準法(労基法)により認められない。

 国瑞汽車の林永裕総経理は、台湾生産車にとって最も困難な時期で、需要減少に応じて生産ラインの調整を行うと説明した。2つの工場で、10~12月に月間3~5日間の休暇を与え、給与は7割を支給すると強調した。

 聯合報などによると、国瑞汽車は1984年設立で、桃園市中壢、観音に工場があり、トヨタや日野の車両を組み立てている。従業員は約3,800人。2008年の世界金融危機当時も受注が急減し、休暇で生産調整を行った。昨年の生産台数は16万台、今年は10万台まで減少すると予想されている。今年の中東への輸出台数も2万台足らずと、最盛期だった14年の9万台、昨年の3万8,000台を大きく下回る見通しだ。

 今年第1~3四半期の新車販売市場における台湾生産車のシェアは55%と、10年前の80%から大幅に低下した。業界関係者は台湾生産車不振の原因として、日本円やユーロの大幅安で輸入車の価格が台湾生産車と大差なくなったことや、SUV(スポーツ用多目的車)の流行に台湾生産車メーカーが乗り遅れたことを挙げた。

 自動車組み立て最大手の「無給休暇」で、同業や部品メーカーや他業界への波及も懸念されている。自動車の生産には1台当たり部品約3万点が必要な他、▽鉄鋼▽プラスチック▽ゴム▽ガラス▽機械▽電機▽電子──などが関わるためだ。

6月から増加傾向

 労働部の統計によると、9月末から15日までに「無給休暇」を新たに届け出た企業は5社、取り消した企業は4社で、差し引き1社の純増だった。業種別の内訳は、▽金属機電工業、9社(3,254人)▽化学工業、3社(18人)▽情報電子業、2社(173人)▽民生工業、1社(11人)▽その他、4社(34人)──だった。

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 労働部は毎月2回「無給休暇」統計を発表している。今年5月末の78人を底に徐々に増え始め、9月末時点では18社、484人だった。

【図】