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TSMCの18年売上高予測、3度目の下方修正


ニュース 電子 作成日:2018年10月19日_記事番号:T00079906

TSMCの18年売上高予測、3度目の下方修正

 ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は18日の業績説明会で、2018年通年の連結売上高の見通しを前年比6.5%増と、従来予測の7~9%増から引き下げた。下方修正は今年3度目。魏哲家総裁は、仮想通貨の採掘(マイニング)向けASIC(特定用途向けIC)需要減退が足を引っ張ったが、7ナノメートル製造プロセス出荷は順調で、TSMCは今後5年、5~10%成長が続くと強気見通しを示した。19日付経済日報などが報じた。

/date/2018/10/19/00top_2.jpg魏総裁は、今年の半導体(メモリーを除く)市場は前年比5~7%成長、ファウンドリーは6~7%成長と予測した(18日=中央社)

 魏総裁は、7ナノプロセスで100以上の製品がテープアウト(設計完了)しており、来年の売上高構成比は20%以上と、今年の11%より倍増すると見通しを示した。EUVリソグラフィー技術を導入した7ナノ強化版(7ナノプラス)も来年量産を開始し、20年に採用が増えると見込む。

 一方、サムスン電子は18日、EUVリソグラフィー技術を導入した7ナノのローパワープラス(LPP)プロセスの生産を開始すると発表した。

スマホ向け、前年割れか

 TSMCが同日発表した第3四半期連結売上高は2,603億4,800万元(約9,500億円)で前期比11.6%増、前年同期比3.3%増。粗利益率は47.4%で前期比0.4ポイント低下、前年同期比2.6ポイント低下した。純利益は890億7,200万元で、前期比23.2%増、前年同期比0.9%減だった。

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 何麗梅財務長は、8月初旬のウイルス感染事件が与えた影響は第3四半期売上高が2%、粗利益率が1%だったと説明した。第4四半期連結売上高は、前期比10.6~11.8%増え、過去最高を更新すると予測した。通年売上高は初めて1兆元を超えるとみられている。

 TSMCの通年売上高見通しは、今年年初時点で10%以上の成長だったが、4月時点で5~10%成長に、7月時点で7~9%成長に引き下げていた。

 TSMCによると、今年は売上高の約50%を占めるモバイル端末向けが、前年割れの見通しだ。▽高性能計算(ハイパフォーマンスコンピューティング、HPC)▽IoT(モノのインターネット)▽カーエレクトロニクス──向けは2桁成長が見込める。来年は、モバイル端末向けが約10%成長、他3分野は2桁成長が続く見通しだ。

米中貿易戦争、「影響なし」

 米中貿易戦争について魏総裁は、中国の顧客からの受注に変化はなく、影響はみられないと説明した。TSMCの南京12インチウエハー工場の月産能力は現在約1万枚で、来年末までに2万枚に達する予定と述べた。南京工場は今月31日、聯発科技(メディアテック)、深圳市海思半導体(ハイシリコン・テクノロジーズ)、北京比特大陸科技(ビットメイン)などの大口顧客を招いて、記念式典を行う予定だ。今年第2四半期、中国では最先端の16ナノプロセスで量産を開始していた。

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