ニュース 運輸 作成日:2018年10月23日_記事番号:T00079955
18人が死亡、187人がけがをした21日の台湾鉄路(台鉄)の特急列車「プユマ(普悠瑪)号」脱線事故について、行政院の事故調査委員会は22日、脱線の原因はカーブでの速度超過で、制限速度を大きく上回る時速140キロメートル近くに達していたとの初期調査結果を示した。速度超過時に自動でブレーキを動作させる自動列車防護装置(ATP)が作動しなかったとみられる中、運転士が、運転指令員と連絡を取り合いながら、ATPをオフにしたと供述したことが分かった。23日付聯合報などが報じた。
先頭車両(8号車)の車体は大きくひしゃげ、衝撃の大きさを物語る(22日=中央社)
宜蘭地方法院が23日午前に公開したリリースによると、運転士は、瑞芳駅(新北市)から動力系統の異常を感じ、速度計と実際の速度が異なるため、速度計を見ずに運転していたと供述した。運転士は、平時に感覚を訓練しており、事故現場のカーブで時速82~83キロメートルだったはずと話した。ただ、実際には1分後に時速120キロ、2分後に140キロまで急上昇していたという。
宜蘭地方検察署は22日夜、運転士を取り調べた後、業務上過失致死の疑いで宜蘭地方法院に身柄拘束を申請。運転士は23日未明、保釈金50万台湾元(約180万円)で保釈されている。検察は、この他数十人の関係者に聴取を行っている。
運転士は、報道陣の質問に答えず、車いすに乗って検察を後にした(23日=中央社)
事故を起こした列車は、運行中の機器トラブルにより、宜蘭駅出発時に14分遅延していた。運転士が運行遅延の回復のためATPを切ったとの見方もある。
台鉄は2007年に、大里駅(宜蘭県)で起きた列車衝突事故で5人が死亡する事故を起こしており、運転士がATPを切っていたことが原因だった。
機械問題の可能性小
これに先駆け、宜蘭地検の江貞諭主任検察官は22日、速度超過は事実に間違いなく、現時点では機械の不具合や異常の可能性は低いとの見方を示した。ただ、人為的ミスなのか機械の問題なのかは、厳密に調査してから判断を行うと慎重な姿勢を示した。
行政院が設置した「1021鉄路事故行政調査小組」の呉沢成召集人は、運転状況記録装置の分析で、列車は事故当時、時速140キロ近かったと説明した。プユマ号の現場区間の制限速度は時速75キロで、65キロもオーバーしていたことになる。なおプユマ号は、カーブでも比較的高速での走行が可能な車体傾斜システムを採用しており、現場の一般の列車の制限速度、時速65キロより緩和されている。
この他、台鉄局機務処の頼随金副処長は、メーンコンプレッサーの故障で、ブレーキに供給する圧縮空気が不足していた問題を説明した。ただ、ブレーキへ供給される圧縮空気が不足すると、列車は減速・停車する設計になっており、脱線の原因にはならないという。
台鉄局によると、途中の宜蘭駅でコンプレッサーの再起動を行った。コンプレッサーとATPは別系統で、相互に影響はないという。また頼副処長は、次の花蓮駅で運行を停止し、別の編成に切り替えることを検討していたと説明した。
上下線復旧に向け車両の撤去作業が進む(22日=中央社)
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