ニュース 運輸 作成日:2018年10月24日_記事番号:T00079980
台湾鉄路(台鉄)特急列車「プユマ(普悠瑪)号」脱線事故の原因がカーブでの速度超過とされる中、交通部台湾鉄路管理局の杜微副局長は24日午前、速度超過時に自動でブレーキを動作させる自動列車防護装置(ATP)をオフにするとの運転士(48)からの報告は通信記録になかったとして、運転士の過失とする初期判断を示した。また、プユマ号と沿線、ATPなどの全面検査を1週間以内に完了させると改善措置を発表した。一方、行政院は同日、事故調査委員会が調査・分析を続行しており、「人為的ミスと確定したわけではない」と強調した。
台鉄管理局は24日午前に記者会見を開き、被害者や関係者に謝罪した(24日=中央社)
事故の背景には、SOP(標準作業手順)不徹底、ATP故障頻発、人員不足など、台鉄の問題があるとの指摘もある。
24日付蘋果日報などによると、21日の事故当日、列車は車両統合管理システム(TCMS)に警告表示が出たまま、樹林駅(新北市樹林区)を午後3時9分に発車した。運転士によると、瑞芳駅(新北市瑞芳区)付近から動力系統や速度表示に異常が出た。列車は3時57分、双渓駅(新北市双渓区)で故障が見つかり、4分遅れで発車、宜蘭駅での修理を予定していた。
運転士によると、この後、通過駅の大渓駅(宜蘭県)付近で運転指令員の同意の下、ATPをオフにした。これについて、運転指令員は否定している。ATPをオフにした場合、規定によれば次の通過駅の亀山駅(宜蘭県)でオンにしなければならないが、オフのまま運行が続けられた。
列車は午後4時34分、宜蘭駅で検査したものの、修理できないまま15分遅れで発車、2駅先の停車駅、花蓮駅で編成を切り替える予定だった。列車は午後4時43分に次の羅東駅(宜蘭県)を発車後、2分後には速度が急激に上昇し始め、午後4時46分には時速120キロメートルに、1~2分後に時速140キロに達し、午後4時50分ごろ新馬駅(宜蘭県)付近の急カーブ区間で脱線。18人が死亡、187人がけがをする大惨事となった。
事故現場の急カーブ区間でのプユマ号の制限速度は時速75キロ。運転士は、時速82~83キロにコントロールしていたと話している。
ATP故障が常態化?
あるベテラン運転士は、プユマ号19編成のうち、事故車両など3編成はもともとATP故障が頻発していたと話している。
台鉄のプユマ号など車体傾斜式車両の修理記録によると、プユマ号がATP故障により修理工場に送られた回数は過去22カ月で51回、タロコ(太魯閣)号は52回に上った。
これに対し台鉄は、ATP異常は故障と限らず、再起動などで回復することも多いと説明した。
整備士も不足
事故を起こした列車は、運転士の資格を持つ内勤の副主任が運転していた。関係者によると、休日は運行本数が多く、内勤が応援に当たることが常態化しているという。
台鉄は、3年で3,000人の補充を計画している。労働組合の王傑理事長は23日、今年補充された1,000人が近日勤務に就いたが、退職者の穴を埋めるだけで、まだ2,000人不足していると指摘。メンテナンス人員も過去10年で3割減っている上、ダイヤ改正で過密化しており、十分な補修・点検の時間が取れないと語った。
上下線の運行再開
台鉄はきょう24日早朝、事故現場付近で上下線の線路を使った運行を再開した。視察のためプユマ号の第1便に乗車した頼清徳行政院長は、安全が確認されたから、プユマ号の運行を再開できると述べた。ただ、全面検査が終わるまでカーブ区間は減速走行してもらうと説明した。
頼行政院長(左5)は、台鉄新馬駅などを視察した(24日=中央社)
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