ニュース 運輸 作成日:2018年10月29日_記事番号:T00080061
18人が死亡した特急列車プユマ(普悠瑪)号脱線事故から1週間たった28日、台湾鉄路(台鉄)は全面検査の結果、プユマ号全18編成に「問題は見つからなかった」と発表した。台鉄はこれまで説明後の訂正が相次いでおり、専門家は、第三者を交えない台鉄単独検査の信頼性に疑問を呈した。消費者団体の中華民国消費者文教基金会(消基会)は、行政院の事故調査委員会の調査結果が公表されるまで、プユマ号の運行を停止するよう訴えた。29日付中国時報などが報じた。
蔡英文総統は28日、末端の職員1人の責任でなく、台鉄の組織的な問題を明らかにすると表明した(28日=中央社)
呉宏謀交通部長はきょう29日午前、速度超過時に自動でブレーキを動作させる自動列車防護装置(ATP)を完全に整備できるまで、プユマ号と太魯閣(タロコ)号は運転士2人体制にすると表明した。
交通部は、引責辞任した交通部台鉄管理局の鹿潔身局長に代わり、張政源・交通部政務次長(62)があす30日就任すると発表した。張氏は交通大学交通運輸研究所博士。1987~91年に台鉄台北駅長を務めた他、台南市政府交通局局長、副市長などを歴任した。
台鉄管理局長に就任する張氏。事故原因を徹底究明、職員の士気を鼓舞し、台鉄に対する社会の信頼を取り戻したいと語った(29日=中央社)
詳細は3カ月後
プユマ号は、時速140キロメートル近い高速で急カーブにさしかかり脱線したとみられており、ATPがオフ状態だったことや、動力系統の故障、列車遅延などの問題があったことが伝えられている。
台鉄は全面検査について、ATPを含む電気機器関連8項目、機械関連9項目が対象と説明したが、捜査中を理由に検査データの詳細は公表しなかった。
台鉄・台北電務段七堵調車場の黄徳輝技術助理は、台鉄の列車はいつも故障が多く、プユマ号のメーンコンプレッサーの検査器も常時不足しているのに、わずか1週間で検査が完了し、問題が見つからないはずがないと語った。
台湾鉄道国土規画学会は、台鉄が検査した後、交通部鉄道局が審査し、最終確認してから発表するべきと指摘した。
これに対し交通部の王国材政務次長は、今回はまず、運行の安全性を確認するための重点項目検査を行ったもので、3カ月後に大規模検査の結果を行政院から発表すると説明した。
監視システム、故意に未接続か
台鉄は、25日にプユマ号にATPの遠隔監視システムが搭載されていないと説明していたが、27日には搭載しているが未接続だったと説明を一変した。
関係者によると、プユマ号は2012年の導入時にATP遠隔監視システムが搭載されたものの、運転の妨げになるとして接続していなかった。事故当時、ATP遠隔監視システムが機能していれば、ATPオフ時に運転指令所で警報が表示されるため、調査の争点となっているATPオフがいつだったが判明するだけでなく、脱線を防げた可能性もある。
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722