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ウエハーワークス上海工場閉鎖へ、中国の環境規制で


ニュース 電子 作成日:2018年11月15日_記事番号:T00080402

ウエハーワークス上海工場閉鎖へ、中国の環境規制で

 半導体用シリコンウエハー世界6位、台湾3位の合晶科技(ウエハーワークス)は14日、上海市政府の環境規制を受け、上海工場を移転すると明らかにした。早ければ11月末に移転するようだ。同工場の月産能力は6インチ換算で約20万~28万枚とされ、台湾や中国の工場で生産を支援するものの、シリコンウエハー市場の需給逼迫(ひっぱく)が深刻化する恐れがある。15日付経済日報などが報じた。

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 ウエハーワークスは、上海市松江区の工場は20年以上前に購入したもので、上海市政府が数カ月前に水資源保護区を拡大し、その範囲に含まれたと説明。移転の準備を始めており、顧客や受注への影響はないと説明した。同社は上海市政府と、移転時期について交渉中とされる。来年初めの移転なら、桃園市の楊梅工場や中国江蘇省の揚州工場に生産をスムーズに移行できるためのようだ。

 中国政府の環境規制で、シリコンウエハー工場が移転を求められたのは初めてのケースだ。市場では、上海市政府は昨年10月の時点で、シリコンウエハーは環境汚染業種に当たるとして上海工場の1年以内の移転を求めていたとの観測も浮上している。

補償金で新工場検討も

 ウエハーワークスの上海工場は、4インチ、5インチ、6インチのシリコンウエハーを生産しているとされる。

 桃園市の楊梅工場はこれまでに、5インチウエハーの月産能力を15万枚増強した。以前にも楊梅工場で生産していたため、顧客の認証取得は不要だ。

 中国では、10月末に河南省の鄭州工場が完成し、8インチウエハー月産能力10万8,000枚の設備を搬入した。12月より顧客にサンプル出荷を開始する予定で、3~6カ月以内に顧客から認証が得られると見込む。月産能力は5万枚ずつ、20万枚まで増やす予定だ。

 この他、江蘇省揚州市で新工場を建設中で、来年3~4月に完成する予定だ。月産能力は15万枚。上海工場の移転に伴い、数億人民元(1人民元=約16.35円)の補償金を受け取るので、新工場の建設地も模索している。

 同社は、売上高への影響は月間2,000万人民元で、最長2カ月続くとみている。市場では、同社の売上高は月間1億8,000万台湾元(約6億6,000万円)、15~20%減少すると予想されている。

来年、値上げへ

 ウエハーワークスの陳春霖総経理は、8インチウエハー需要は顧客の要望に応じきれないほど強く、鄭州工場は来年第3四半期に月産能力20万枚がフル稼働になると予測した。来年も8インチウエハー価格を値上げする見込みで、値上げ幅は通年で10%以上との見通しを示した。

 台湾最大手の環球晶円(グローバルウェーハズ、GWC)の徐秀蘭董事長は、8インチウエハーと12インチウエハーは長期契約が80~90%に上り、売上高の80%近くを占めると説明。来年は契約価格を値上げすることが確定していると語った。GWCは、8インチウエハーが供給不足で、12インチウエハー(月産能力630万枚)はフル稼働だ。

【表】