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10月輸出受注が頂点か、経済部が慎重見通し


ニュース その他分野 作成日:2018年11月21日_記事番号:T00080500

10月輸出受注が頂点か、経済部が慎重見通し

 経済部統計処が20日発表した10月の輸出受注総額は、前月比2.4%増、前年同月比5.1%増の489億9,000万米ドルで、過去最高を更新した。一方、統計処の林麗貞処長は、11月の輸出受注総額は前月を下回ると、慎重な見方に転じた。アップルの「iPhone」新機種をはじめミドル~ハイエンドのスマートフォン販売不振が伝えられる中、米中貿易戦争による台湾企業への転注も限定的なためだ。21日付経済日報などが報じた。

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 林処長は、11月の輸出受注総額は約480億~490億米ドルで、前年同月比では1.4%減~0.6%増との予測を示した。輸出受注は景気の先行指標のため、景気の転換点ではと市場で懸念されている。

 一方、林処長は、足元の世界景気は安定しており、通年の輸出受注総額は5,000億米ドルを超えるとの見通しを示した。

需要期で追い風

 製品別の10月輸出受注額は、情報通信技術(ICT)製品は、前年同月比3%増の163億5,000万米ドルで、過去最高を更新した。需要期を迎え、スマホや装着型(ウエアラブル)端末の新製品発売が多かったことや、クラウド用サーバー需要の拡大で、受託メーカーなどサプライチェーンの受注につながった。

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 半導体など電子製品は、6.4%増の127億4,000万米ドルで、同月の過去最高を記録した。仮想通貨の採掘(マイニング)需要が減退、メモリー価格は下落したが、モバイル製品の新製品発売や新技術の応用先拡大が貢献した。

 液晶パネルなど光学器材は22億6,000万米ドルで、3.5%増だった。林処長は、大型パネル価格が前年同月比21.6%下落したものの、需要は回復している他、スマホ向けバックライトモジュール受注が増加したためと指摘した。

機械は低成長

 従来型産業では、機械の10月輸出受注額が18億4,000万米ドルで前年同月比0.4%増と、9月のマイナス成長(5.3%減)を抜け出したものの、低成長だった。米中貿易戦争で様子見ムードが続いているためだ。

 ベースメタルは24億7,000万米ドルで3.7%増と、3カ月連続の1桁成長だった。米国の制裁関税を回避するため、上半期に受注が多かった反動だ。昨年11月~今年7月は2桁成長だった。

 一方、プラスチック・ゴム製品は20億9,000万米ドルで、9%増だった。米国の中国製品向け関税引き上げを視野に、駆け込み需要があったためだ。

 10月輸出受注の海外生産比率は56.4%で、1~10月の平均51.4%を上回った。製品別では、ICT製品で94.6%、電機製品で75.5%と高く、米中貿易摩擦が激化する中でも、中国から台湾への生産回帰による効果は顕著に表れなかった。

米国向け、過去最高

 国・地域別の10月輸出受注額では、米国向けが前年同月比8.2%増の149億2,000万米ドルで、過去最高を更新した。林処長は、主に米国のモバイル製品ブランド(アップルを指す)向けが貢献したもので、台湾メーカーへの転注はうかがえないと指摘した。

 中国(香港含む)は、5.9%増の114億8,000万米ドルで、同月の過去最高を記録した。この他、▽欧州、109億米ドル(0.9%増)▽東南アジア諸国連合(ASEAN)、40億7,000万米ドル(0.1%減)▽日本、27億3,000万米ドル(1.1%減)──だった。

【図】【表】