ニュース 政治 作成日:2018年11月25日_記事番号:T00080575
高雄市に「韓流」が吹き荒れた。接戦となった高雄市長選は、国民党の韓国瑜氏(61)が選挙戦終盤で猛烈に追い上げ、最終的に民進党の陳其邁氏(53)に大方の予想を上回る約15万300票の大差を付け、ドラマチックな逆転劇を演じた。民進党は1998年から20年にわたり守り続けた高雄市長の座を失った。
韓氏(中)は妻(右2)とともに市民に感謝を述べ、勝利を宣言した(24日=中央社)
韓氏は24日午後9時すぎ、勝利宣言を行い、「一致団結して高雄の未来に向け努力する。もはや青(国民党)も緑(民進党)もない。全力で経済に取り組む」と抱負を語った。
一方、陳氏は午後9時前、「努力が足りず申し訳ない。皆さんの期待に応えられなかった」と敗北を認めた。
陳氏(中)は、「高雄のために韓市長を皆で盛り立てていこう」と呼び掛けた(24日=中央社)
驚異的追い上げ
韓氏は地元出身の陳氏とは異なり、新北市出身で中央から派遣された「落下傘候補」だっただけに、当初は陳氏と勝負にならないとさえ言われた。しかし、韓氏の追い上げは驚異的だった。陳氏は9月ごろまで各社の世論調査で優勢とみられていたが、10月ごろから両氏互角、さらに韓氏優勢へと情勢が目まぐるしく変化した。
大方の予想を上回る票差が付いた。得票率は韓氏が53.9%、陳氏が44.8%で約9ポイント差。国民党の大勝と言える結果だった。民進党は2014年の前回市長選で陳菊氏が68.1%の得票率で圧勝したのと比べると、記録的な惨敗となった。今回の高雄市長選は国政レベルで蔡英文政権の支持率が低迷し、民進党に大逆風が吹く中、韓氏個人の型破りなカリスマ性も相まって、特定の支持政党を持たない中間層の票が韓氏に流れたとみられる。
経済強調、中台問題を回避
選挙戦では韓氏の選挙巧者ぶりが目立った。「政治は語りたくない」として、中台問題などアイデンティティーに訴える主張を極力排除。青果市場の運営会社、台北農産運銷(北農、TAPMC)の総経理を務めた経歴を引っさげ、「高雄を台湾で最も豊かにする(打造高雄首富)」をスローガンに、地元経済の活性化や大気汚染の改善など市民生活に直結した公約を掲げると同時に、失点続きの蔡英文政権への不信任票を投じようと訴えた。トレードマークのスキンヘッドを生かし、メディアへの露出でも陳氏より一枚上手だった。
韓氏の勝利は今回の統一地方選における国民党の躍進を象徴している。韓氏が20年の総統選で朱立倫氏、馬英九氏、呉敦義氏などと並ぶ候補に食い込むとの気の早い予測もある。しかし、韓氏の公約を精査すると、10年以内に高雄市の人口を500万人に増やそうといった政見に象徴されるように現実性を欠く主張もあり、政治的手腕は未知数だ。
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