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《統一地方選・民進党が惨敗》柯文哲氏が薄氷の勝利、4年前の勢いなし【図】


ニュース 政治 作成日:2018年11月25日_記事番号:T00080576

《統一地方選・民進党が惨敗》柯文哲氏が薄氷の勝利、4年前の勢いなし【図】

 台北市長選で現職の柯文哲氏(59)は薄氷の勝利で再選を果たしたが、2014年の前回選挙のような勢いはなかった。大勢判明が25日未明にまでずれ込み、国民党の丁守中氏(64)とはわずか3,254票の差、得票率にして0.23ポイントの差だった。

/date/2018/11/25/00taipei-ko_2.jpg柯氏は、「阿北(インターネット選挙運動での柯氏のニックネーム)は帰ってきた」と当選の喜びをかみしめた(25日=中央社)

柯陣営に笑顔は少なく

 辛勝した柯陣営に笑顔は少なかった。当選が決まった25日午前2時半すぎ、柯氏はあいさつに立ち、「今後4年間も引き続き柯文哲を監督してもらいたい。世代と党派を超えて協力、努力し、さらに困難な試練に立ち向かいたい」と述べた。

 引き続き記者会見した柯氏は「今回の辛勝は予想よりも厳しいものだった。内部の選挙事務には検討すべき点がある」などと述べる一方、柯氏の得票に前回は共闘関係にあった民進党が擁立した姚文智氏(52)の得票を加えると、「前回と大差なく、票の分布は意外なものではなかった」とも指摘した。

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選挙無効提訴へ

 一方、善戦の末に敗れた丁氏は、敗北を承服せず、「選挙無効の訴えを起こす」と表明した。丁氏は投票所での混乱で、台北市での投票終了が所定時間の午後4時よりも大幅に遅い午後7時46分にずれ込み、開票が進行する中で、投票が完了していないという異例の事態となったことを問題視。「選挙過程には重大な違法事項があり、中央選挙委員会(中選会)が台北市選挙委員会と共謀して、(当選する可能性の高い候補に票を集中させる)『棄保』を引き起こしたのではないか」と批判した。

/date/2018/11/25/00taipei-ting_2.jpg丁氏(左3)は、「選挙無効の訴えを起こす」と、深夜に台北地方法院に向かった(25日=中央社)

丁氏の猛追

 選挙戦は事実上、無所属の柯氏と国民党の丁氏による争いとなった。一時は柯氏が世論調査で優位に立つ場面もあったが、選挙戦終盤にかけ、丁氏が猛追した。

 丁氏の追い上げをめぐっては、高雄市長選での韓国瑜ブームが波及したことに加え、柯氏の選対総幹事で作家の小野氏(本名=李遠)が、高雄市長選で民進党の陳其邁氏支持を表明し、国民党支持層が柯氏を民進党寄りと認識した可能性が指摘されている。

 一方で、当選の可能性が薄くなった民進党の姚氏の支持者が、国民党による市政奪還を阻むために柯氏支持に回る「棄姚保柯」の動きが出るとも予想され、選挙戦の行方を読みにくくした。

色あせた「柯P」人気

 「柯P」というニックネームを持つ柯氏は前回選挙で「オープンな政府、公民の参加」をスローガンに「青(国民党)でも緑(民進党)でもない白色の力」の結集を掲げ、二大政党の対立に嫌気が差していた中間層の圧倒的支持を集めた。そのため、勝ち目がないとみた民進党が独自候補の擁立を見送り、圧勝を収めた経緯があった。

 しかし、今回は民進党も独自候補を擁立し、苦戦を強いられた。台北文化体育園区(通称・台北ドーム)の事業権をめぐる混乱を招くなど、市長としての4年間の実績はぱっとしなかったほか、中国との都市交流で「両岸一家親(中台は一つの家族)」と発言し、中国に寄り過ぎとの印象を与えたことなどで支持者の離反を招いた側面は否めない。柯氏は再選を果たしたとはいえ、遊説先で絶えず抗議に遭遇するなど、有権者の十分な信任を得たとまでは言いにくく、2期目はリーダーシップを発揮しにくくなりそうだ。