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25年の脱原発目標、「変更なし」=行政院


ニュース 公益 作成日:2018年11月26日_記事番号:T00080590

25年の脱原発目標、「変更なし」=行政院

 24日の統一地方選挙に合わせて実施された住民投票で、「2025年以前に全ての原子力発電所を停止することを明記した電業法条文の削除」の議題が成立したことを受け、行政院のコラス・ヨタカ報道官は25日、電業法条文の削除は、政府の25年の原発全廃政策に影響しないと表明した。住民投票を無視したものだと指摘が上がる中、中華民国工商協進会(CNAIC)の林伯豊理事長も、再生可能エネルギーはまだ不安定で、電力が安定供給できなくなれば、台湾経済の急降下、投資環境の悪化は不可避だとして、政府に再考を訴えた。26日付経済日報などが報じた。

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 コラス報道官は、電業法の関連規定は中央選挙委員会(中選会)の住民投票結果の公告後3日以内に失効すると説明した。ただし、住民投票の効力は、25年までに最長40年の運転期限を迎える台湾電力(TPC)第1原発(新北市石門区)、第2原発(万里区)、第3原発(屏東県恒春鎮)の運転延長を政府に強制するものではないとして、予定通り退役させる方針を示した。

 経済部関係者は、住民投票を受けた関連規定の失効は、25年以降も原発利用が可能という選択肢ができるだけで、必ず原発を利用しなければならないという意味ではないとの解釈を示した。

 林CNAIC理事長は、住民投票の結果は、市民が政府のエネルギー政策にノーを示したものだと指摘。▽電力の安定供給▽適正な電気料金▽PM2.5(微小粒子状物質)と温室効果ガス排出の抑制──を理由に原発支持を訴えた。

運転延長、第3原発のみ可能性

 コラス報道官は、仮に原発の運転期限を延長するとしても、期限到来の5~10年前に申請する必要があり、第1、第2原発については期限が過ぎていると説明した。第3原発は来年7月まで申請が可能だが、申請前の準備作業を考えると間に合わないと述べた。第4原発(新北市貢寮区)計画を再開するにも、TPCによると6~7年かかるため、25年に間に合わないと指摘した。

 26日付工商時報によると、運転延長については民進党内でも意見が割れており、TPCは延長する場合の技術面と日程面の評価を進めているとされる。

 「2025年以前に全ての原子力発電所を停止することを明記した電業法条文の削除」の住民投票を推進した黄士修氏は、政府が25年の原発全廃政策を続行すると表明したことは、大多数の民意を無視するものだと批判した。その上で、20年の総統選挙と合わせて、第4原発の計画再開と、離島の蘭嶼(台東県)からの放射性廃棄物搬出の是非を問う住民投票実現を目指すと表明した。

太陽光発電は楽観

 住民投票では、同時に「火力発電量の毎年1%以上削減」、「石炭火力発電所の新設・拡張停止」の議案も通過した。火力発電所に制限が設けられたことで、電力の安定供給の難易度が上がる。加えて、住民投票を軽視したと見なされれば、市民や産業界の反発を招きかねない。エネルギー政策は20年1月に迫る総統選挙の焦点となりそうだ。

 太陽電池大手3社合併で誕生した聯合再生能源(ユナイテッド・リニューアブル・エナジー、URE)の潘文輝執行長は、国民党は25年の原発全廃が困難と判断しているものの、太陽光発電など再生可能エネルギー発展を推進する立場は民進党と変わらないとして、20年の総統選挙の結果にかかわらず、太陽光発電産業の見通しは明るいとの認識を示した。

【表】