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TSMCの7ナノ、来年Q1稼働率8~9割どまりか


ニュース 電子 作成日:2018年12月5日_記事番号:T00080769

TSMCの7ナノ、来年Q1稼働率8~9割どまりか

 5日付工商時報によると、ファウンドリー世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は来年上半期の7ナノメートル製造プロセスの設備稼働率が80~90%にとどまり、過去数年で最も厳しい非需要期となる見通しだ。アップルのiPhone新機種に限らず、スマートフォン販売が伸び悩み、クアルコムや深圳市海思半導体(ハイシリコン・テクノロジーズ)も7ナノプロセスのウエハー投入予測を下方修正したとみられる。米中貿易戦争は一時休戦に入ったが、スマホをはじめ電子製品の売れ行きが不安視される状況は変わっていないようだ。

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 半導体業界では従来、アップルが例年通り上半期に半導体生産の発注を減らしても、クアルコムや華為技術(ファーウェイ)傘下のハイシリコンの発注でカバーできるとみられていた。しかし、iPhoneだけでなく、アンドロイドOS(基本ソフト)搭載スマホの販売も鈍っており、▽クアルコム「スナップドラゴン855」▽ハイシリコン「麒麟980(Kirin 980)」──などプロセッサー新製品の生産量は従来予測を下回るとみられている。スマホ用プロセッサーは在庫水準が高まっており、在庫消化には2~3四半期かかる見通しだ。

 アップルは、iPhone新機種向け「A12」プロセッサーの生産量を減らす一方、前機種のiPhone8シリーズとiPhoneX(テン)の生産を再開し、10ナノプロセスを利用する「A11」プロセッサーの生産量を増やしているもようだ。ただ、TSMCの顧客が10ナノプロセスから7ナノプロセスへの移行を進めているため、TSMCの来年上半期の10ナノプロセス稼働率は横ばいとみられる。

 TSMCをめぐっては最近、来年上半期の受注状況が悪く、顧客に事前発注を要請したり、値下げで受注確保に動いているとの報道が出ていた。TSMCは来年1月中旬の業績説明会まで、市況に関する発言を控えている。

 外資系証券会社は、米中貿易戦争が最終製品の需要に与える衝撃は、来年より徐々に顕著になると予想した。また今年第4四半期の半導体需要が不十分で、来年上半期の在庫消化圧力はさらに強まると予測した。

ウエハー価格下落の懸念

 今年は積層セラミックコンデンサー(MLCC)やDRAM、インテル製CPU(中央演算処理装置)の供給不足により、既に半製品の在庫水準が大幅に上昇している。今後、最終製品の販売が伸びなければ、最も川上のTSMCだけでなく、▽シリコンウエハー▽パッケージング・テスティング(封止・検査)▽材料──など半導体関連メーカーにも影響は必至だ。

 半導体用シリコンウエハーメーカーは、これまで供給逼迫が続いており、来年上半期の契約価格も値上げしたが、今後、現物(スポット)価格が下落に転じる恐れがある。

 一方、5日付工商時報は、在庫を消化できれば来年下半期以降、第5世代移動通信(5G)対応スマホや自動運転車向けなど応用先の拡大で、半導体需要は期待できると報じた。

【表】