ニュース 社会 作成日:2019年1月7日_記事番号:T00081350
台湾でもバリアフリーの理念が浸透し、街中でノンステップバスを見掛ける機会も増えている。しかし、車椅子利用者が実際にバスに乗るとなると、手間と時間がかかるため、運転手や乗客から白い目で見られることもあるようだ。こうした中、車椅子の乗客が、運転手の支援が得られなかったなどが原因で、乗車中に転倒し、負傷する事例が相次いでいる。
范さん(左2)は、苦しむのは自分を最後にしてほしいと語った(4日=中央社)
車椅子利用者がバスに乗る際の手順としては、まず昇降口にスロープを取り付け、歩道から車椅子を車内へ移動させた後、所定のエリアに設置された固定具で車椅子を動かないよう固定。さらに乗客のために「悠遊カード(イージーカード)」などICカードを機器に読み取らせたり、行き先を聞いたりするため、通常、約5分以上を要するという。
小児まひが原因で車椅子を利用する著名な広告プロデューサー、范可欽さんは昨年12月13日にバスに乗った際、固定具を取り付けていない状態で急ブレーキがかかり、車椅子ごと転倒して肋骨(ろっこつ)を折るという大けがを負った。
なお台北市ではこの2年に、バスに乗った車椅子利用者が固定具を取り付けていない状態で急ブレーキがかかったり、急発進し、転倒して骨折などのけがを負うトラブルが3件発生しているという。
22日間の入院生活を送った後、今月4日にようやく公の場に姿を現した范さんは「ここ3年間、バスに乗った際、運転手に固定具の取り付けを手伝ってもらったことはない」と明らかにした。その理由として彼は、別の乗客や後方の車両を待たせることになるため、言い出せなかったと語っている。
同様の経験をする人は多いようで、車椅子を利用するある女性は、万全の乗車態勢を整えるために時間をかけていると、周りの乗客からまるで犯罪者でも見るような目を向けられると指摘。自身を含め障害者の多くは福祉用の車両を除けば、ほとんどバスに乗りたがらないという。
また別の女性は、車椅子利用者の父親がバス車両内で不愉快な思いをし、「あなたがたもいつか年を取るんだ」を大声で叫んでしまったと聞かされ、心が張り裂ける思いがしたという。この父親も、それ以降、バスに乗ることはなくなったそうだ。
范さんは、自分の事故をきっかけに障害者の安全をより重視してほしいと市民に呼び掛けるとともに、より短時間で固定具が装着できる方式を採用してほしいと要望した。
いくら急いでいたとしても、助けが必要な人を冷たい目で見るような人間にはなりたくないものだ。
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