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来年のパネル業界、生産過剰で利益激減も


ニュース 電子 作成日:2008年6月13日_記事番号:T00008137

来年のパネル業界、生産過剰で利益激減も

 
 来年のパネル業界は、第8世代以上のパネル工場の生産開始が相次ぐため、10%以上の生産過剰となりパネルメーカーの業績に深刻な影響が出るという予測が、台湾平面ディスプレイ展(ディスプレイ台湾2008)に参加したパネル前工程設備世界最大手、米AKTによって示された。パネル業界が来年供給過剰に陥る可能性については既に調査機関やメーカーなどが指摘しているが、10%以上という大幅な数値が示されたのは初めてだ。13日付経済日報が報じた。
 
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パネルメーカーは来年上半期の生産過剰予測もあり、最大手の友達が最近1カ月で約16%下落するなど、軒並み株価を下げている(友達光電提供)
 
 姜仁斗(カン・インドゥ)AKT総裁によると、来年は友達光電(AUO)、奇美電子(CMO)、サムスン電子、LGディスプレイ(LGD)、IPSアルファテクノロジなど、世界大手の8世代以上の工場7基が生産を開始する。AKTは従来10%以下と見積もっていた来年の生産過剰の度合いについて、最近「10%以上」と上方修正を行った。

 姜総裁は、「生産過剰によってパネル価格は大幅に下落し、パネルメーカーは利益が激減して損失を被る恐れもある」と、パネル産業の景気循環が再びマイナス局面に入るという見通しを指摘。さらに、「今年の年末か来年には、不景気によって顧客が設備納入の延期を要求するケースも起こるだろうが、それが良いことかどうかは判断がつかない」と語った。

 姜総裁はまた、「8.5世代工場は主に50インチ以上の液晶テレビパネルを生産するが、生産過剰に陥れば、顧客メーカーは8.5世代ラインで32インチや37インチの中型テレビパネルを生産するよう求めるだろう。8.5世代工場の生産能力は6世代工場の2倍あり、中型テレビパネルにも深刻な生産過剰が起きて価格は暴落する」と語り、負の連鎖が進むとした。

大手2社は楽観視
 
 なお、当面のパネル市場ついて、友達、奇美電の大手2社は、比較的楽観的な見通しを示している。

 彭双浪友達執行副総経理は5月26日、「パネル市場の生産能力の分母は既にかなり大きく、当社は市場全体を依然楽観視している」と表明。何昭陽奇美電総経理は、「来年の市況は想像されるほど悲観的なものではない。景気が良くなければ、パネルメーカーは減産メカニズムに従って生産能力の利用率を下げて対応する」と語っている。

意図せざる結果の出現も
 
 姜AKT総裁の発言について経済日報は、「悲観予測はパネル産業にとって良いことだ。なぜなら、部品メーカーからブランドメーカーまでが慎重になって生産を厳しくコントロールするようになるためだ。この結果、予測とは逆の結果が生じることもある」と指摘した。

 同紙は例として、パネル産業が不景気に見舞われていた06年当時、翌07年の見通しは悲観一色だったが、大幅な減産が行われた結果、パネルメーカーの同年の利益は過去最高に達したことを挙げた。業界が特定の予測に対応することにより、予測そのままの事態は回避されるというのが同紙の見方だ。