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豚コレラへの不安、飲食店に影響


ニュース 社会 作成日:2019年1月8日_記事番号:T00081374

豚コレラへの不安、飲食店に影響

 中国で猛威を振るっている豚の伝染病「アフリカ豚コレラ」の感染拡大を防ぐため、台湾政府がさまざまな水際対策を講じている。しかし、養豚農家の間では、台湾でも感染が拡大するのではないかとの不安感から出荷を早める動きが出ており、卸売価格の下落が起きている。市民の間でも豚肉に対する不安感が広がり、魯肉飯(滷肉飯、豚肉そぼろご飯)など豚肉を使った料理を提供する店では既に売り上げが低下している。

/date/2019/01/08/18kakomi_2.jpg街中の伝統市場でも豚肉の売り上げは減っているという(8日=中央社)

 台湾市場で生きた豚の卸売価格は昨年7月時点で1キログラム当たり75台湾元(約264円)以上だった。昨年8月に中国でアフリカ豚コレラが発生して以降は価格下落が続き、年末には一時70元を割り込んだ。

 ただ12月29日より卸売価格はゆるやかに回復し、今年1月7日の全土平均価格は72.52元となった。一連の価格動向について行政院農業委員会(農委会)畜牧処の王忠恕副処長は、豚コレラ感染が台湾に拡大すれば、豚肉価格は暴落すると予想した養豚農家があわてて出荷したことが原因と説明した。間もなく迎える春節(旧正月、2019年は2月5日)で豚肉の需要増が見込めるため、現在は価格が上向いていると指摘した。ただ、養豚が盛んな中部の彰化県、雲林県、嘉義県では依然1キロ70元の水準を回復していない。

 一方、魯肉飯店の関係者は「以前は1日に100杯以上売れていたのが、最近では50杯にも届かない」と苦境を訴えている。客に「豚肉の産地はどこ」と問われるそうで、消費者が市販の豚肉に対して不安を募らせている状況がうかがえる。

 魯肉飯のほか、肉円(バーワン、米の生地で豚ひき肉や野菜を包み、低温の油で揚げる料理)の人気店でも、食事時には必ずできていた行列が見られず、業績は悪化している。碗粿(ワーグイ、お碗の中にすりつぶした米と豚肉やエビ、しいたけなどの具を入れて蒸し上げる料理)を売る店でも深刻な影響が出ているという。

 一部の弁当店では排骨飯(豚スペアリブ丼)や爌肉飯(豚角煮丼)などの注文が約10%減っているそうだ。別の店からは「豚コレラが台湾で発生すれば食べられなくなる可能性があるため、今のうちに食べておこうと考える客がいて、逆に注文は増えている」との声も上がっている。

 さまざまな影響が出ているようだが、本格的な感染拡大は何とか食い止めてほしいものだ。