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TSMCのQ1見通し、異例の22%減収


ニュース 電子 作成日:2019年1月18日_記事番号:T00081561

TSMCのQ1見通し、異例の22%減収

 ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は17日、今年第1四半期連結売上高見通しは73億~74億米ドルと、前期比21.3~22.3%減の予測を示した。非需要期ながらも20%以上もの大幅減収は世界金融危機以来だ。米中貿易戦争に加え、iPhoneなどスマートフォン市場減速の影響が鮮明になった。魏哲家総裁は、今年は半導体産業の「スロー・イヤー」だと述べ、半ばまでは在庫調整が続くと予測した。18日付経済日報などが報じた。

/date/2019/01/18/00tsmc_2.jpg魏総裁(左)と劉徳音(マーク・リュウ)董事長(右)。厳しい外部環境の中、手腕が試される(17日=中央社)

 何麗梅財務長は、第1四半期はコンシューマーエレクトロニクス向けが成長するものの、▽通信▽コンピューター▽産業用──などの需要は軒並み減少すると予測。特にスマホ販売不振で半導体の在庫水準が高まっており、TSMCの7ナノメートル製造プロセスの利用率は急落すると述べた。

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 前期比20%以上の減収となれば、世界金融危機発生後の2009年第1四半期に38.8%減少して以来の事態だ。TSMCは明言しなかったものの、アップルのiPhoneなどハイエンドスマホ販売不振が主因とみられている。

 スマホ用カメラレンズ最大手の大立光電(ラーガン・プレシジョン)や、筐体(きょうたい)大手の可成科技(キャッチャー・テクノロジー)も昨年12月売上高が前月比2~3割減少した。

19年半導体市場、わずか1%増

 魏総裁は、今年のメモリー以外の半導体市場は前年比1%成長、ファウンドリーは横ばいながら、TSMCの通年売上高は前年比1~3%増と予測した。ただ、昨年6月に董事長を退いた張忠謀(モリス・チャン)氏が示していた前年比5~10%増の目標には届かない見通しだ。

 TSMCは、下半期を依然楽観しており、今年の携帯電話向けチップは成長が続くと予測。モノのインターネット(IoT)向けは10%以上成長するが、車載用は横ばい、高性能計算(ハイパフォーマンスコンピューティング、HPC)と仮想通貨向けは10%以上の減少との見通しを示した。

 今年の設備投資は100億~110億米ドルと、昨年並みの高水準を維持する見込みだ。20年以降、第5世代移動通信(5G)や人工知能(AI)向け需要が拡大すると好感しているためだ。

18年売上高・純利益は過去最高

 TSMCが同日発表した昨年連結売上高は前年比5.5%増の1兆300億台湾元(約3兆6,500億円)、純利益は2.3%増の3,511億3,000万元と、共に過去最高を記録した。製造プロセス別の売上高構成比は、▽7ナノ、9%▽10ナノ、11%▽16/20ナノ、23%──だった。

 昨年第4四半期の連結売上高は前期比11.3%増、前年同期比4.4%増の2,897億7,000万元、純利益は前期比12.3%増、前年同期比0.7%増の999億8,400万元で、過去2番目に高かった。

【図】