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記事番号:T00081610
2019年1月21日15:41

 洋上風力発電大手のデンマーク企業、エルステッドは19日、経済部が今年の電力買い取り価格を12.71%引き下げる方針を示したことなどを不満として、既に着工済みの工事案件の中止を台湾の協力メーカーに通知したと明らかにした。経済部の対応次第ではプロジェクトからの撤退をも示唆しているが、専門家などからは同社の姿勢は戦術にすぎず、要求をのむべきではないとの声が出ている。21日付聯合報などが報じた。

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 経済部は昨年11月、今年の電力買い取り価格を1キロワット時(kWh)当たり5.106台湾元(約18.14円)へと、昨年の5.8498元から引き下げる案を提示。同時に毎年3,600時間の買い取り上限を設けていた。また、昨年末にエルステッドなど洋上風力発電事業者4社に対し、滑り込みで昨年の電力買い取り価格による契約を結ばせることを目指したが、彰化県政府との行き違いから許可が下りなかった経緯がある。

 エルステッドはこれらに対して見直しを求めることを表明。中国鋼鉄(CSC)、世紀鋼鉄結構(センチュリー・アイロン&スチール・インダストリアル)、台湾汽電共生(台湾コージェネレーション)傘下の星能(スター・エナジー)などの協力メーカーに対しては既に着工した工事の中断、未着工分に関しては改めて契約料を協議すると表明した。

 同社によると、出力900メガワット(MW)の洋上風力発電計画への総投資額は1,650億元で、既に数十億元を投資したという。ただ、現時点で政治的リスクに直面し、デンマーク本社が台湾政府の態度が不明確なことを懸念しており、損切りして撤退するのか、引き続き1,000億元以上の投資を行うのかは台湾政府の対応にかかっていると強調した。

協力メーカーに困惑

 台湾の協力メーカーには困惑が広がっている。CSCは、傘下の興達海洋基礎公司がエルステッドからジャケット式海洋構造物56基を受注しており、受注額は100億元に上ると説明した。現時点での工事の一時中止による影響は大きくないが、今後契約が取り消されるのか注視していると表明した。

 世紀鋼鉄結構は、コペンハーゲン・インフラストラクチャー・パートナーズ(CIP)や独wpdとは海底インフラに関して契約した一方、エルステッドとは同契約を行っていないと説明しつつ、エルステッドの動きが他の外資に広まらないか懸念しているとした。エルステッドから昨年受注した切り替え部分の試験生産については、既に代金が支払われているという。

彰化県「全権限は中央に」

 彰化県政府は、エルステッドの強硬姿勢は、電力買い取り価格の引き上げを目指して、経済部能源局(エネルギー局)と交渉するための戦術とみている。同局は19日、春節(旧正月、今年は2月5日)前に発表する今年の買い取り価格は業者の意見を参考にすると、原案水準からの引き上げを示唆した。

 なお、王恵美彰化県長(国民党)は、同県が地方政府として再審査への同意書を提出しなかったために風力発電事業者4社が昨年の買い取り価格の適用を受けられず、エルステッドの「最後通牒」につながったとの見方に対し、「買い取り価格の決定は中央政府の専権事項」と反論した。

 彰化県は昨年9月に既に同意書を提出しており、その後は買い取り価格の変更に中央政府から同意を求められたことはなく、12月24日に経済部からの文書が届きはしたが、魏明谷前県長(民進党)が署名しなかったと指摘した。彰化県は今月14日、「本県の職権に関係ない」として経済部に計画書を返送し、中央政府が全責任を持つよう求めた。

エルステッドの強欲批判

 風力発電事業の専門家である国泰世華商業銀行(キャセイ・ユナイテッド・バンク)の元カンボジア子行董事長の梁敬思氏は、エルステッドの要求をのむべきではないとの立場だ。

 台湾のプロジェクトでは20年にわたる「運転維持管理サービス費」と「技術権利金」で十分な利益が保障されており、電力買い取り価格の5.106元への引き下げを理由に撤退することは考え難いと指摘した。買い取り価格の大幅引き下げは米国、ベトナム、欧州でも見られており、実際は台湾ほど利益を上げやすい場所は世界のどこにもないと強調した。

 梁氏はその上で、エルステッドを強欲過ぎると批判。5.106元で不満ならば撤退するに任せればよいと語った。

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