ニュース 電子 作成日:2019年1月22日_記事番号:T00081636
第5世代移動通信(5G)の商用サービスが、早ければ2020年末に実現するとの見通しが21日、国家通訊伝播委員会(NCC)の詹婷怡主任委員より示された。既に昨年第4四半期にサービスを開始した米国、韓国、20年中に開始を予定する中国、日本、欧州連合(EU)に後れを取らないよう、業界からはスピードアップを求める声も出ている。22日付工商時報などが報じた。
5Gサミットに出席した沈経済部長(左4)ら。3GPP会議の誘致にはメディアテックが大きく貢献した(21日=中央社)
5Gの仕様の検討・作成を行う標準化プロジェクト「3GPP」の会議が21日台北市で開かれ、インテル、AT&T、NTTドコモ、サムスン電子、ノキア、エリクソンなど世界の関連メーカー150社350人以上が参加し、5Gのフェーズ1基本仕様の策定、5G強化技術の標準化などを討議した。
同会議に合わせて経済部と台湾資通産業標準協会(TAICS)は「台湾5G商用サービス展望発展サミット」を開催した。沈栄津経済部長は、台湾は中華電信と遠伝電信(ファーイーストーン・テレコミュニケーションズ)を中心とした2つの「5G国家チーム」を立ち上げており、5Gイノベーション応用で先進国を目指すと表明。45社が参加する中華電信チームは今年4月に台北流行音楽センターで5Gネットワークのテストを実施し、21社が加盟した遠伝チームは自動運転車とコネクテッドカーに注力すると説明した。
中華電信の林国豊執行副総経理は、台北流行音楽センターでのテストに続いて、第2四半期中に各企業に5G設備の相互運用性のテストを開放、20年第2四半期から第3四半期にかけてプレサービスを行い、最も早くて20年末から21年初めにかけて商用サービスを提供すると展望を語った。
遠伝電信の新任総経理、井琪氏は、5Gでは、ビッグデータ、人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)の3分野に注力すると語り、上限を定めず人材採用を行うと語った。商用サービスは20年上半期に免許を受領できるのであれば同年中に可能との認識を示しつつ、業界の5Gへの投資コスト低減に向けて、周波数の貸与、共用、ネットワークの借用を可能とする「電信管理法」の早期成立が求められると提言した。
メディアテック「3A戦略」
メディアテックの蔡明介(ミンカイ・ツァイ)董事長はサミットで、今年が5G標準技術と産業発展の鍵となる1年との認識を示しつつ、同社は▽アクセシビリティ(アクセスのしやすさ)▽アフォーダビリティ(費用負担が可能)▽アベイラビリティ(信頼性の高さ)──の「3つのA」の戦略で臨むと表明した。
同社は5Gの研究開発(R&D)に5年以上の時間を費やし、3GPPに対する5G規格の提案量は4Gの5倍、その43%が採用され、世界3位にある。今年第2四半期には同社初の5G対応モデムチップ「ヘリオ(Helio)M70」の量産を開始する予定だ。業界では、商用サービス開始以降の、ミッドエンドスマートフォン市場を狙っているとみられている。
蔡董事長は、5Gによる通信の高速・大容量化は人々の暮らしを変え、ビジネスモデルに変化をもたらすと強調した。
「WiMAX教訓に」
サミットではこの他、台北市電脳商業同業公会(TCA)理事長を務める童子賢・和碩聯合科技(ペガトロン)董事長が、政府に対し、5G周波数の入札料を引き下げるよう求めた。今年、免許発給を予定していない台湾はアジアの周辺国よりも遅れており、歩みを加速すべきと主張した。
童氏はまた、業者が乱立して共倒れとなったWiMAXを教訓に、基地局の密度に注意を払うとともに、基礎インフラの共用を図るべきと呼び掛けた。
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