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作成日:2008年6月17日_記事番号:T00008170
阿里山鉄道、半数以上が無免許運転士?!
嘉義県の阿里山森林鉄道は、ふもとの嘉義駅から沼平駅間まで全長約72キロ、標高差2,200メートルを約4時間で運行する高山登山列車。建設当初は森林資源の輸送が目的だったが、現在では阿里山観光の目玉となっている。
しかし、阿里山鉄道は度重なる脱線事故などで赤字経営が続いたことから、これを管轄する行政院農業委員会林務局は2006年、鉄道の運営と周辺開発をBOT(建設・運営・譲渡)方式で民間へ委託することを決定。入札の結果、地元嘉義の建設業者、宏都建設が9億5,000万台湾元(約33億8,000万円)で33年間の経営権を取得した。
阿里山鉄道の民営化を目前にした16日、環境保護団体が、阿里山鉄道の運転士30余人のうち運転免許を持っているのはたった9人だけ、という事実を暴露。これでは乗客の安全確保は困難と批判し、林務局に対して経営権移譲を即刻中止するよう求めた。
これに対し林務局は、阿里山鉄道の運行は平日は1往復、休日は2往復なので、運転士は9人で十分との見解を示した。さらに、4人の副運転士は無免許ではあるが経験は豊富で、これから免許を取得させると釈明。その他は今年1月に採用したばかりの運転士だが、既に200時間以上の訓練を受けている(交通部規定は500時間)という。
阿里山鉄道の経営権移譲は19日に行われるが、16日時点でまだ交通部の許可が下りていないことから、阿里山鉄道の民営化に反対する阿里山住民らは、林務局が違法な民営化を強行した場合は、民宿や飲食業者は連名で中国人観光客の受け入れを拒否する考えも示している。