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メディアテックの5G開発、従業員8分の1を投入


ニュース 電子 作成日:2019年2月22日_記事番号:T00082104

メディアテックの5G開発、従業員8分の1を投入

 IC設計最大手、聯発科技(メディアテック)の蔡力行執行長は21日、第5世代移動通信(5G)向けの研究開発(R&D)に、2,000~3,000人を投入していると明らかにした。全従業員の8分の1に当たる。同社は5G対応モデムチップに続き、5G対応システム・オン・チップ(SoC)の2020年投入を目指して開発中で、20年の5Gサービス開始に伴うスマートフォン買い替え需要を見据えて研究開発にさらに注力する。22日付工商時報などが報じた。

/date/2019/02/22/00top_2.jpg蔡執行長(中)は、成長を続けて世界で最も競争力のある企業の1社になると意欲を表明した(21日=中央社)

 蔡執行長は、5Gと人工知能(AI)分野の研究開発に重点を置き、間もなく始まる5G時代をリードしていくと語った。5GとAI分野の研究開発人員は、2年前の数百人規模から数千人規模に増えており、同社の昨年の研究開発投資は576億台湾元(約2,100億円)と、2年連続で売上高の24%以上の水準に達した。

 5G商用サービスが始まれば、スマホをはじめとした製品での5G対応チップの利用拡大が期待される。同社の5G、およびAIとモノのインターネット(IoT)を融合したAIoT事業の売上高構成比は20年に10%に達する見通しだ。

 同社初の5G対応モデムチップ「ヘリオ(Helio)M70」は、2月25~28日にスペインで開催されるモバイル製品の見本市「MWCバルセロナ(旧モバイル・ワールド・コングレス)」への出展を予定する。陳冠州総経理は、M70は5Gで利用するサブ6ギガヘルツ(GHz)帯に対応した最も優れたモデムチップで、▽つながりやすさ▽通信中断の少なさ▽省電力性能──を備え、優れた消費者体験(カスタマー・エクスペリエンス)をもたらすと説明した。

 陳総経理は4G対応製品について、4Gは15年のライフサイクル後半に入ったばかりで、製造コスト削減に加え、AI技術の導入により映像やゲーム向け機能を強化していくと述べた。同社は昨年12月に発表したスマホ向けSoC「ヘリオP90」に第2世代のAIエンジン(APU2.0)を導入、搭載製品は第1四半期末から第2四半期にかけて発売する予定だ。

19年、小幅成長か

 今年の業績展望について蔡執行長は、携帯電話市場の減速などの課題に直面するが、スマートホームや消費者製品向け、特定用途向けIC(ASIC)の成長は堅調で、売上高は横ばいか小幅成長を遂げるとの見通しを示した。その上で、今後は売上高の毎年2桁成長を目指すと述べた。

 蔡執行長は一方、高付加価値製品の貢献で、今年通年の粗利益率は40%以上へと、昨年第4四半期の38.9%を上回るとの見通しを示した。昨年はスマホ向けSoC「ヘリオP60」、「ヘリオP22」、「ヘリオA22」などの競争力のある製品の貢献でシェアが上昇した。

 台湾積体電路製造(TSMC)で1月に発生した化学材料の品質不良による製造トラブルについては、メディアテックへの大きな影響はないと説明し、第1四半期の見通しは据え置くと説明した。