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新道路開通、温泉街に閑古鳥


ニュース 社会 作成日:2019年2月25日_記事番号:T00082178

新道路開通、温泉街に閑古鳥

 省道・台9線の一部で、台東県から屏東県までを結ぶ通称「南迴公路」のうち、温泉街として知られる台東県太麻里郷金崙村付近は2車線しかなく深刻な渋滞に悩まされてきたが、昨年10月に4車線の「金崙高架橋」が開通したことで渋滞が大幅に解消された。一方で、村の従来の道路は車の通行量が激減。温泉街や周辺の商店には閑古鳥が鳴き、経営の危機を迎えている。

 金崙村では昨年10月以降、以前はとても多かった車の姿がめっきり見られなくなり、その結果、地元商店の利用客も激減してしまった。村で唯一のセブン-イレブンも売り上げが40%減少し、昨年末に一度は閉店した。しかしその後、経営者が奮起して再度オープン。内装のリフォーム、CM動画の制作で客足を取り戻そうと努力を続けている。

 一方、金崙村の陳志偉村長は、金崙高架橋の開通で交通量が減ったことについて「危機ではなく転機」と楽観的な見方だ。同村の温泉街には依然、高雄市や屏東県から台湾鉄路(台鉄)を利用してやって来る観光客が少なくないため、今後は温泉に地元特産の農産品、原住民の漁労、狩猟、舞踏文化を組み合わせ、特色ある観光を打ち出していきたいと抱負を語っている。

 なお台9線沿線ではこれまでも、路線の変更により、一部地域が経済的な危機を迎えるといったケースが何度も繰り返されてきた。

 屏東県枋山郷の楓港はかつて南迴公路の出発・終着点に位置し、同地に開設された長距離バスの大型ターミナルの利用者でにぎわった。しかし、2005年の台風で沿線の川に架かる橋が損壊し、高架橋が新設されたことで路線が変更となり、南迴公路のルートから外れた。これにより楓港は一気に没落し、人口が約8,000人から5,000人に急減した。

 同じくかつて台9線が通っていた台東県鹿野郷武陵村もその後の路線変更でルートから外れ、一時は農産品が売れなくなるなど厳しい時代を経験した。その後、かつての台9線区間の、両側にクスノキの大木が立ち並ぶ「緑のトンネル」と呼ばれる道路沿いで、休日に小規模農家が地元で育てた作物を販売する市を開くようになると、これが評判となり、大勢の観光客を集めるようになった。

 金崙村が今後、どのような未来を迎えるかはアイデア次第と言えそうだ。