ニュース 電子 作成日:2019年3月4日_記事番号:T00082230
4日付経済日報などによると、アップルは第5世代移動通信(5G)に対応したiPhone新機種の今年下半期発売に向けて、プリント基板(PCB)と関連材料の台湾メーカー3社を選定したもようだ。5G対応iPhoneの部品調達の動きが伝えられたのは初めてで、今後調達が本格化しそうだ。
3社は、▽銅箔(どうはく)基板(CCL)の台光電子材料(エリート・マテリアル)▽PCB大手の臻鼎科技控股(ZDT)▽台郡科技(フレキシウム・インターコネクト)──。5G規格のスマートフォン登場は消費者の大規模な買い替えを促すとみられ、台湾サプライヤーの業績に大きな貢献が見込まれる。3社は個別の顧客や受注状況についてコメントしないとした。
外資系証券会社によると、エリートは今年、アップルの主要サプライヤーに返り咲くとみられている。環境に優しいスマホ向けハロゲンフリー基板材料で世界首位であることや、高い素材技術がアップルの評価を得ており、5G高速通信などによる発熱に対処するための高い耐熱・放熱要求に対応できるとされる。
観測によると、エリートは、サブストレート基板(SLP)やフレキシブルプリント基板(FPC)向けで、5Gスマホの設計要求に対応できる新素材を開発したという。新素材とFPCとのモジュール化も見据えており、出荷拡大が見込める。経済日報は、ハイエンド素材を利用した5Gスマホ向けPCBモジュールは、平均販売単価が4G向け製品の3.5倍に上り、出荷量もスマホの精密化から大幅増加が期待できると指摘した。
一方、ZDTは5G向け専門のテスト部門を設立しており、今後も技術開発に継続的に経営資源を投入して、顧客の要求に応える構えだ。
また、フレキシウムは3年前から5G向け開発を開始、セラミック基板など5G高速高周波向けで素材メーカーと研究開発(R&D)を進めており、新素材の液晶ポリマー(LCP)を利用した基板の開発・量産を目指す。今年のFPC世界シェアは、昨年の5.5~6%から増加する見通しだ。
新素材需要、さらに拡大
経済日報は、アップルが5G対応iPhone向けにまずPCBサプライチェーンを選定したとみられることについて、5G対応スマホでは回路や放熱の問題解決が既存機種より複雑化するためと指摘。アップルは、通信モジュールの重要部品であるPCBや新素材をまず確保し、通信品質の安定確保やコスト管理などの問題に取り組むとの見方を示した。
また、5Gサービス開始当初のスマホ向け5G通信用アンテナモジュールは、低い周波数への変換(ダウンコンバート)を行うものとなるが、今後、さらなる高速通信実現のため周波数変換が不要なアンテナへの改良が進むとみられ、新たな複合素材への需要が期待される。
iPhone XR、2千万台追加発注
一方、昨年10月発売後の販売不振が伝えられていたアップルのスマホ新機種iPhone XR(テン・アール)は、各国での値下げ後に需要が高まっており、サプライヤーに2,000万台の追加発注があったもようだ。▽ファウンドリーの台湾積体電路製造(TSMC)▽カメラレンズの大立光電(ラーガン・プレシジョン)▽玉晶光電(ジニアス・エレクトロニック・オプティカル、GSEO)▽PCBの欣興電子(ユニマイクロン・テクノロジー)──など台湾サプライヤーの恩恵が見込める。華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)などが発表したアンドロイドOS(基本ソフト)搭載スマホ新機種の価格が高いことも、iPhone XRの販売増加に貢献している。
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