ニュース 公益 作成日:2019年3月5日_記事番号:T00082255
沈栄津経済部長は4日立法院で、2025年に電気料金が1キロワット時(kWh)当たり平均3.39台湾元(約12.3円)と、17年比で33%上昇するとの見通しを報告した。産業界は、上昇幅は予想を下回ったものの、企業経営の圧迫要因となることに変わりはないとして渋い表情だ。5日付経済日報などが報じた。
沈経済部長。今年は総統選の前年のため電気料金の値上げは見送られる一方、来年からは毎年値上げが行われるとの予測が出ている(5日=中央社)
経済部は、昨年11月の住民投票でエネルギー政策に関わる3項目が成立したことを受けて、エネルギー政策の見直し報告書を立法院に提出した。同報告書は18~25年の電力需要について、▽台湾積体電路製造(TSMC)など半導体大手企業の投資案件▽海外で事業展開する台湾系企業(台商)のUターン投資▽電気自動車(EV)・電動バイクの増加──などにより年平均1.86%増加し、過去9年間の平均1.45%増を上回ると指摘。一方、▽火力発電量の毎年1%以上削減▽石炭火力発電所の新設・拡張停止──を求める住民投票が成立したことで、コストの安い石炭で電力需要の増加に対応することができないため、コストの高い天然ガスや再生可能エネルギーの割合が増加し、発電コストと電気料金の大幅上昇を招くと説明した。試算は、燃料コストは横ばいとの前提だ。
経済団体、中華民国全国商業総会(商総)の頼正鎰理事長は、電力料金は物価や原油価格の影響も受けるとして、実際は経済部の試算を上回る可能性に懸念を示した。
中華民国工商協進会の林伯豊理事長は、産業界の予測3.5元を下回ったことは評価できるが、電力料金が上昇することに変わりはなく、企業の生存空間を圧迫すると指摘した。
沈経済部長は一方、19~25年の電力供給予備率は15%以上を確保でき、電力の安定供給に懸念はないと説明した。ただ、試算は節電への積極的な取り組みと、既存の発電所計画が順調な進展が前提となっており、実現性に疑問の声も出ている。
台湾電力(台電、TPC)台中火力発電所でのガス火力発電機新設計画や、大潭火力発電所(桃園市観音区)に天然ガス供給を予定する台湾中油(CPC)の第3液化天然ガス(LNG)受け入れ基地建設計画では、環境保護団体が反対運動を展開している。
電源構成、「その他」で調整
経済部は、同日公表した見直し後の25年の電源構成比計画で、石炭火力発電を27%へと従来から3%削減し、その分を「その他」で補う方針を示した。「その他」は、▽第3原子力発電所2号機の25年5月の稼働期限以前の発電量、1%▽主に緊急調整用に用いられる石油火力と揚水発電、各1%──から成る。
経済部能源局(エネルギー局)関係者は、従来は割合が小さいため計上していなかったものを、石炭火力発電削減に伴い計上したと説明したが、新たな電源を確保したとは言えず、数合わせの感が否めない。
一方、ガス火力発電は50%、再生可能エネルギーは20%と、従来計画を維持する。
18年の電源構成比は、▽石炭火力、38.8%▽ガス火力、38.6%▽再生可能エネルギー、4.9%▽原子力とその他、15.7%──だった。
原発政策、総統選で住民投票も
脱原発反対派は20年の総統選挙と合わせて脱原発政策の転換を求める新たな住民投票実施を目指しており、「脱原発目標を定めた電源法条文の削除」の住民投票を主導した黄士修氏は、新たな住民投票提案に必要な第1段階の署名を集め、4日に中央選挙委員会(中選会)に提出した。
提案したのは「第4原発(新北市貢寮区)の封鎖解除・商業発電」と「30年までの石炭火力発電量以上の原発発電量の維持」を求める2案。3月下旬までに実施されるとみられる審査で認められれば、4月にも第2段階の署名に移る。
黄氏は、昨年11月に主導した住民投票が電源法条文削除のみを求めるものだったため、民進党政権が民意を尊重せずに脱原発政策の継続に至ったと指摘。新たな住民投票の実施し、政府に確実な脱原発政策の放棄を求めていくと説明した。
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