ニュース 社会 作成日:2019年3月6日_記事番号:T00082303
台湾軍のミサイルの性能向上につながるロケット技術の開発計画に携わる上校(大佐)が昨年末、移動する際に利用した公共レンタサイクル「YouBike(ユーバイク、微笑単車)」の前籠に、プロジェクトに関する機密文書を置き忘れる失態を犯していたことが明らかとなった。
国防部では5年で12億4,000万台湾元(約45億円)の予算を計上し、地対地中距離ミサイル「雲峰」の射程を1,200キロメートルから2,000キロメートルに向上させることを可能にするロケット技術の開発計画「麒麟プロジェクト」を、国家中山科学研究院(中科院)主導で進めている。開発に成功すれば、台湾軍は中国内のミサイル発射拠点を直接攻撃することが可能となるため、その内容が記された文書は当然、非常に機密性が高い。
しかし、このプロジェクトに関わる上校の1人が昨年末、台北市中山区大直地区にある国防部本部での会議を終えた後、ユーバイクに乗って移動し、都市交通システム(MRT)駅で降りた際、あろうことか機密文書を前籠に入れたまま立ち去ってしまった。
放置された文書が悪意ある人物の手に渡れば、国防部にとって取り返しのつかない打撃となるところだったが、幸いなことにユーバイクの次の利用者は同じく国防部に所属する憲兵だった。前籠に忘れ物が放置されていることに気付いた憲兵が、好奇心から内容を確認したところ、ロケット開発に関するものであることが分かり、直ちに国防部の担当部署に通報し、文書を引き渡した。
同部署では情報の流出がなかったか確認するため、問題のユーバイクが止められていた地点近くの監視カメラの映像を調べたところ、上校がその場を離れ、憲兵が文書を発見するまでの間、誰も手を触れていないことが判明し、関係者は胸をなで下ろした。
なお、その後の報道によると、憲兵から通報を受けた国防部が中科院に問い合わせたところ、同院は文書がどこにあるのか把握しておらず、管理の甘さが露呈した。また、文書を置き忘れた上校や、指導すべき立場にある上司に対する処分は「記過(戒告に相当)」と軽いもので議論を呼んだ。これを受けて国防部は中科院に対し、関係者に厳格な処分を行うとともに、機密資料の保護を徹底するよう要求したとコメント。中科院も関係者の責任を厳しく追及し、人事異動を含めた処分を行うと表明した。
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