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工業用電力15%値上げ、設備投資にブレーキ懸念も


ニュース 公益 作成日:2008年6月18日_記事番号:T00008231

工業用電力15%値上げ、設備投資にブレーキ懸念も

 
 経済部は17日電価諮詢委員会を開き、電力料金の値上げを、7月から全体平均で12.6%、10月から同25.2%の2段階方式で実施することを確定した。工業用電力の平均値上げ幅は7月15.24%、10月と合計で平均30.77%の上昇となる。生産面で対策を講じるメーカーもあるが、「影響は限定的」との見方もあり、産業界の対応は分かれそうだ。一方で、企業の設備投資意欲への悪影響を懸念する指摘も出ている。18日付経済日報などが報じた。
 
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 台湾電力によると、工業用電力料金の値上げは従量料金部分のみとなる。紡織、鉄鋼・金属、石油・化学、セメント、半導体などの大手メーカーが使用する高圧および超高圧電力は、7月の値上げ幅がそれぞれ15.2%、15.31%と電力種別では最大になる。高圧・超高圧電力は、域内の総電力使用の58%を占めている。産業別では、7月からの値上げで最も値上げ幅が大きくなるのは紡織と既製服、服飾品メーカーで、平均16.62%となる。

 また、台湾電力の予測では、産業界全体の生産コストは7月の値上げで0.39%、10月の値上げで0.79%上昇するとしている。

減産を7月以降に延期
 
 化繊メーカーは最近の原油価格高騰に起因する原料価格上昇を消化しきれておらず、減産の実施を決めた遠東紡織(ファーイースタン・テキスタイル)、南亜塑膠工業(南亜プラスチック)などの一貫化繊メーカーは、電力料金の値上げ幅が大きいため、当初6月に予定していた減産や年次補修を7月に先延ばしすることを検討しているようだ。

鉄鋼・半導体業、「影響は大きくない」
 
 豊興鋼鉄や東和鋼鉄などの鋼筋メーカーは、電力値上げの確定を受けて17日の株価は大きく下落した。これについて豊興の林盟弼総経理は同日、「電炉メーカーは生産コストの増加は1トン当たり350台湾元(約1,250円)前後、販売価格の値上げも1.2%以下で影響は限られる」と反論している。

 また、台湾積体電路製造(TSMC)や、中華映管(CPT)などの半導体および液晶パネルメーカーも、電力料金値上げの影響は大きくないという見方で一致している。TSMCでは、水・電力コストは半導体生産コストの5%以下に過ぎず、電力料金が上昇すれば、今後一層の省エネに取り組むことで対応するとしている。

 なお、中華民国全国工業総会(工総)によると、生産コストの増大により、既にメーカーの設備投資意欲に影響が出始めているという。工総は第4原子力発電所の早期完成を含め、安定した電力供給への対策を政府に求めている。
 
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家庭用は1カ月約71元増
 
 一方家庭用電気料金の値上げは、7月7.52%、10月6.96%の値上げとなる。1世帯当たりの平均電力使用量を夏期は448キロワット時(kWh)とすると、7月からの値上げで毎月約71元増加、10月からは月平均使用量365kWhで計算すると、電力料金はさらに88元増えることになる。

 経済部は同日、値上げの補完措置と省エネ奨励策も発表した。経済部能源局(エネルギー局)の葉恵青局長によると、住宅および小中学校では2カ月間の1日平均電力使用量が前年同期を下回った場合は、料金が最高で6%割り引きとなる。また、中・低収入世帯の保護のため、毎月電力使用量が110kWh以下の世帯は値上げを行わず、110~330kWhの世帯および小型商店は値上げ幅を半分にする。