ニュース 社会 作成日:2019年3月22日_記事番号:T00082617
初期症状がほとんどなく早期発見が非常に困難なことから「がんの中のがん」と恐れられる膵臓(すいぞう)がんについて、中央研究院(中研院)遺伝子研究センターの研究チームはこのほど、糖分を控えることが罹患(りかん)リスクの低減につながることを明らかにした論文を発表。国際的科学誌「セル・メタボリズム」に掲載された。
従来の研究によると、膵臓がんの90%を占める通常型膵がん(浸潤性膵管がん)は糖代謝の異常に関係があることは分かっていたが、その因果関係については明らかにされていなかった。遺伝子研究センターの李文華院士率いるチームは今回、糖代謝の異常が膵臓がんを引き起こすと研究によって解明した。
既存の研究では、「KRAS」と呼ばれる遺伝子の変異により細胞の異常な分裂が促され、がん細胞が発生するとされる。中研院の研究チームは、台湾大学医学院附設医院(台大医院)の協力の下、糖尿病と通常型膵がんを患う患者と糖尿病を患っていない通常型膵がん患者それぞれの、正常な膵臓組織と膵臓近くにある小腸組織を採取し、検査した結果、KRASの変異は糖尿病と通常型膵がんを患う患者の正常な膵臓細胞内のみに発生することが確認された。
この結果を基に研究チームは、膵臓が代謝を行う際に遺伝情報が損なわれ、KRAS遺伝子の突然変異が促されると推論。この仮説を実証するため、正常な膵臓細胞に高濃度の糖、タンパク質、脂肪を投与したところ、糖のみに遺伝子の突然変異が発生したという。
なお同チームによると、dNTP(デオキシリボヌクレオチド3リン酸)は人体にブドウ糖が摂取された後に生成され、DNAの生成と複製に不可欠な材料となるが、糖の多い高糖環境の膵臓細胞ではdNTPの量が明らかに減少するという。
研究の結果、ブドウ糖の摂取量が多過ぎると膵臓細胞内タンパク質のグリコシル化が増え、dNTPの量を調節する重要な酵素、リボヌクレオチドリダクターゼ(RNR)の活性が抑えられ、細胞内のdNTP不足を引き起こし、KRAS遺伝子の突然変異、膵臓細胞のがん化につながることが分かった。
なお糖分の多い飲食習慣が大腸や小腸、肝臓、肺、腎臓など他の器官に及ぼす影響についても研究が行われたが、KRAS遺伝子の突然変異が発生するのは膵臓だけのようだ。とはいえ、危険ながんを避けるためにはできるだけ、甘いものの取り過ぎは控えた方が良さそうだ。
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