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CMMT経営混乱、パネル供給網断絶も


ニュース 電子 作成日:2019年3月25日_記事番号:T00082623

CMMT経営混乱、パネル供給網断絶も

 液晶パネル用偏光板大手、誠美材料科技(CMMT、旧奇美材料)は22日、運転資金不足により生産に影響が出ていると明らかにした。経営権争いの表面化を受けて、債権銀行団が資金提供を拒否しているためだ。パネル業界では、既に偏光板が供給不足状態にある中、CMMTからの供給が止まればサプライチェーンが断絶する恐れもあるとの懸念が広がっている。25日付経済日報などが報じた。

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 同社の債権銀行各行は、1月中旬に副董事長の葉美麗氏が独自に董事会を招集して、董事長、何昭陽氏の解任を決議した騒動を受け、相次いで与信枠の全額凍結を決めた。このため、同社は現金で材料購買をせざるを得なくなり、2カ月間で手持ち資金が20億~30億台湾元(約71億~107億円)減少、資金繰りに問題が発生している。同社は1カ月当たりの運転資金が9億~10億元かかる他、第2四半期に35億元の短期債務の返済期限が迫っている。

 同社では、その後何氏が法的措置に出て董事長職に復帰したものの、双方がそれぞれ董事会を招集するなど混乱が広がっていた。

 何董事長は、経営への影響回避のため、経済部工業局に債権銀行団との交渉への支援を要請しており、材料購入のための信用状取引の再開や、3~6カ月程度の債務返済期限の延長を求めると説明した。同社の主要債権銀行は、台湾銀行、合作金庫商業銀行(TCB)などで、これまでの交渉では、担保の提供や、普通董事全員による債権の連帯保証などを求めている。

 同社はまた、4月26日に臨時株主総会を招集し、経営陣刷新を行う予定だ。今週にも発表される昨年第4四半期決算への監査意見も注目を集めそうだ。

イノラックスなど影響か

 同社の偏光板の手持ち在庫は約2カ月分で、今後の交渉の行方によっては今年半ばにも出荷に影響が出る見通しだ。液晶パネル大手でCMMTの大株主である群創光電(イノラックス)は、偏光板の3割をCMMTから調達している。既に他メーカーから調達する措置をとっているが、第2四半期はパネル需要が回復するとみられ、供給不足がさらに深刻化し、偏光板価格の上昇を招くとみられる。

 CMMTの顧客はイノラックスの他、▽瀚宇彩晶(ハンスター・ディスプレイ)▽凌巨科技(ジャイアントプラス・テクノロジー)▽京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)▽深圳市華星光電技術(CSOT)▽中電熊猫信息産業集団(CECパンダ)▽咸陽彩虹光電科技(CHOT)──などとされる。

 液晶ディスプレイ(LCD)の重要部品である偏光板は、大型パネル生産ラインの相次ぐ開設で需要が高まり、このところ供給不足が深刻化していた。CMMTは、日東電工と合弁の昆山奇美材料(中国江蘇省)で50、58インチの大型パネル向けに生産しているが、受注が生産能力を大幅に上回っており、今月、5~10%の値上げを決めたばかりだった。

 CMMTの1~2月連結売上高は26億1,200万元で、前年同期比62.6%増と好調だった。同業の明基材料(BenQマテリアルズ)は22億7,000万元で、15.5%増と供給不足の恩恵を受けている。偏光板は同社の他、▽韓国・LGグループ▽日東電工──が主に供給している。

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