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台大学食内テレビ、中天ニュースに視聴拒否運動


ニュース 社会 作成日:2019年3月26日_記事番号:T00082672

台大学食内テレビ、中天ニュースに視聴拒否運動

 台湾大学の学生がこのほど、フェイスブック(FB)の同大学生同士の交流ページで、ニュース専門局「中天新聞台」が長期にわたり偏向報道を続けているなどと批判し、同局の番組を学内食堂で放映しないことを求める投票活動を開始し、25日時点で4,000人近い賛同者を集めている。

 中天新聞台の報道や番組内容に対しては今月に入り、「フェイクニュース」との指摘が相次いでいる。8日に放送された政治番組では「中国が輸入をストップしたため、売れ残ったブンタン200万トンをダムに廃棄した」という農家の声をテロップ付きで報じたが、後に事実でないことが判明した。

 また12日には台湾固有のタイワンヤマネコ(石虎)と台湾黒熊(ツキノワグマ)はどう猛で攻撃性が強いと指摘した上で、これと比較してパンダは「かわいらしく、攻撃性がない」などと説明した。しかし専門家は「野生動物は多かれ少なかれ攻撃性を備え、パンダも例外ではない」と反論。中天新聞台も過去に「パンダが孔雀をかみ殺す、肉食性は変え難い?」と題するニュースを報じており、自局の報道によって誤りが指摘された格好となった。

 また、中天新聞台は市中のレストランや食堂などに店内のテレビで同局の番組のみを放映するよう依頼し、見返りに金銭を支払っているとの疑惑が浮上しており、親中傾向の強い同局が台湾市民の洗脳を図っているのではないかとの懸念が強まっている。

 こうした中、今回の視聴拒否運動の発起人となった学生は22日、FBのコミュニティーページ「NTU台大学生交流板」に、中天新聞台はメディアとしての役割を果たしておらず、長期にわたり侮辱的な報道を続けているなどの理由を挙げて、「学生自治会は学内の各食堂に対し、中天新聞台の番組を放映しないよう積極的に要求すべき」と訴え、この意見についての是非を問うアンケートを添付した投稿を行った。

 これに対し台湾大学学生自治会の呉奕柔会長は、「フェイクニュースや報道倫理の欠如に対する学生の怒りは理解できる」としたものの、台湾大学は民主と言論の自由が保障されたキャンパスを追求しており、中天新聞台の放映を一方的に禁じることは一種の弾圧につながる恐れがあると指摘。自治会は構内8カ所の食堂と話し合いを持ち、学生が自由にチャンネルを変えられるよう、テレビのリモコンを公開スペースに置くことで合意したと説明した。