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シェアオフィス、台北市で需要急増


ニュース 建設 作成日:2019年3月29日_記事番号:T00082727

シェアオフィス、台北市で需要急増

 台北市では、A級(高級)オフィス物件の供給不足や賃料高騰に伴い、ビジネスセンターやシェアオフィスの需要が急増している。空室率がわずか5.85%と物件探しが困難な中、進出外資企業にとって新たな選択肢となりそうだ。29日付経済日報などが報じた。

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 世界13カ国・地域の30都市で高級ビジネスセンターを手掛ける徳事商務中心(ディ・エグゼクティブ・センター)は今年7月、台北市信義区の高層オフィスビル「台北南山広場」37階に新たなビジネスセンターを開設する。内装に1坪当たり7万台湾元(約25万円)以上を投じており、既に契約した顧客もあると伝えられる。徳事商務中心が支払う37階全体の賃料は月額338万元、1坪当たり4,358元に達する。

 徳事商務中心は台北101、南山広場34階など、台北市に計3,900坪のビジネスセンターを有するが、貸出率は95%に達している。プライベートオフィス貸し出しの他、月額500米ドルの基本料金で世界中の共有スペースを利用できるサービスも人気だ。

 一方、シェアオフィスを手掛けるシンガポールのジャストコー(JustCo、嘉世科)は第1四半期に台湾に進出し、宏泰金融大楼(台北市松山区)で1,700坪の物件を賃貸した。

 近年は、▽リージャス▽スペーシーズ(Spaces)▽カフヌ(Kafnu)──などシェアオフィスを運営する海外企業の進出が相次いでいる。昨年6月に閉店した金石堂書店の城中店(台北市中正区重慶南路)跡には、昨年末に「ザ・ハイブ」が進出した。

 不動産コンサルティング会社、瑞普萊坊(リプロ・ナイトフランク)の劉美華総経理は、海外のシェアオフィス運営企業は、台北市で今後3年新規オフィス供給がないことを見越して進出攻勢に出ていると指摘。オフィス市場全体に対する影響も軽視できないと分析した。

 シェアオフィスの需要増の背景には、オフィス物件の供給逼迫(ひっぱく)の他、スペースや契約期間など柔軟な利用が可能な魅力もある。シービーアールイー(CBRE)の李嘉玶・台湾研究部主管は、国際会計基準(IFRS)第16号「リース」の適用が始まったことで、短期的な物件契約を望む企業は今後も増えると予測した。

 CBREによると、アジア太平洋地域の主要都市では、ビジネスセンターやシェアオフィスの規模が過去3年で4倍に増えた。台湾でもトレンドになりつつある。

シェアオフィス増、賃料上昇招く

 瑞普萊坊の黄舒衛市場研究・顧問部総監は、市場供給量からみて、中小企業は今後、シェアオフィスでも争奪戦に直面すると指摘した。賃料はさらに上昇し、シェアオフィスを利用するか、残された少ないオフィス物件を賃貸するかの選択を迫られると予測した。こうした状況はしばらく解消せず、中長期的に新たなオフィス物件が供給されるまで続くとの見方だ。

 瑞普萊坊によると、第1四半期の台北市のA級オフィス1坪当たり平均賃料は2,760元で、前期比0.95%、前年同期比1.81%上昇した。貸し出し待ち物件は5,357坪の純減で、空室率は5.85%と、前期比0.76%低下した。外資の進出増などで供給逼迫が深刻化し、価格上昇を招いている。

 CBREの李主管は、ハイテク企業によるオフィス賃貸の拡大やシェアオフィス業者の進出増により、今年、台北市のA級オフィス平均賃料は3%上昇するとみている。信義計画区では4%を超える可能性もありそうだ。

【表】