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消えゆく大道芸人、景気減速で収入も下り坂


ニュース 社会 作成日:2019年4月9日_記事番号:T00082882

消えゆく大道芸人、景気減速で収入も下り坂

 多くの県市では、観光地や商圏など人出の多いスポットの文化的雰囲気を高めつつ、秩序を守るため、パフォーマンスを行う大道芸人(ストリートパフォーマー)に対して許可制を導入している。ただ、近年の景気減速や同業者同士の競争激化、投げ銭の習慣が根付かないことなどで、大道芸人の収入は大幅に減少しており、街頭でのパフォーマンスから撤退する者も少なくないようだ。

/date/2019/04/09/20performer_2.jpg街角で面白い大道芸に出会った際は、彼らの生活のことも考えてみてはどうだろうか(6日=中央社)

 10年以上にわたり街頭でオカリナを演奏する2人組の「陶気猫」はこれまで台北市、新北市、高雄市で免許を取得。景気がよかったころは平日でも1回の演奏で1,000台湾元(約3,600円)の投げ銭が集まったが、今や街頭に出るのは休日のみで、半日演奏して数十元しか収入がないこともあるそうだ。

 中国ごまを得意とする芸人、卓家宏さんは台湾チャンピオンに輝いたり、スペインの国際芸術祭で受賞するほどのキャリアの持ち主で、6~7年前に台北市信義区でパフォーマンスを行った際には3時間で7,000元を稼いだこともあったが、「今じゃそんなことはあり得ない」と嘆いた。

 弾き語り芸人の劉小凱さんも、以前は聴衆から500元札や1,000元札が投げ込まれたが、今は100元札がほとんどで、ここ2年で収入は激減したと語る。

 大道芸人の収入減少は、同業者間の競争激化も一因だ。雲林県大道芸人協会の頼宏海理事長は、退職した教師や医師が趣味を生かして芸人になるケースが増えており、大道芸人を本職とする人の生計を脅かしていると分析した。しかも、大道芸に対し、投げ銭をする観衆はわずか15%にとどまると指摘した。

 各地方自治体は、大道芸人がパフォーマンスを披露可能な多くの場所を指定しているものの、人が多く集まる人気スポットは少なく、取り合いになる。人気スポットでの出演に恵まれなかった場合は、収入に深刻な影響が出る。芸人らは「政府は許可を出すだけで、芸人の生計については何も考えていない」と不満の声を上げている。

 こうした中、安定した収入が得るために、街頭でのパフォーマンスをあきらめ、企業のプロモーションイベントなどに活躍の場を移す大道芸人が増えている。中国のレストランと常駐契約を結ぶ大道芸人もいるそうだ。