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馬政権1カ月、物価不満で評価下落


ニュース 政治 作成日:2008年6月20日_記事番号:T00008297

馬政権1カ月、物価不満で評価下落

 
 馬英九総統は20日、就任1カ月を迎えた。ガソリン価格凍結の解除、約10年ぶりの中台公式対話再開、尖閣諸島海域での釣り漁船沈没事件など、大きな出来事の続いた1カ月間の施政に対する満足度は、20日付聯合報の民意調査によると「50%」という結果だった。就任直後の66%からは14ポイントの下落で、物価問題で期待に応えられていないことが反映したとみられる。一方で、58%が「だんだんと良くなる」と回答しており、始まったばかりの新政権をもうしばらく見守ろうという人が多いようだ。

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 同調査では、馬総統の就任後のパフォーマンスに対し、「予想通り」という評価が42%、「期待より悪い」が37%、「期待より良い」が10%となった。また、前政権との比較では、「民進党政権より良い」が46%、「民進党政権の方が良い」が18%と新政権への評価が上回った。また劉兆玄行政院長のパフォーマンスについては「満足」が43%、「不満」が33%となった。

「半年間与えよう」66%

 選挙戦で経済改善を訴え、「馬上就好(すぐに良くなる)」のスローガンで当選した馬政権に対しては、内政と対中関係の安定による経済発展への高い期待感がある。しかし、この1カ月はガソリンなどの物価上昇や株価の大幅下落に見舞われたこともあってか、「満足」は16%低下、「不満」が20%増加と、全体的に評価が下がっている。8年前の陳水扁前総統の就任1カ月の満足度は75%だった。ただ、「少なくとも半年の期間を与えるべき」と答えた人が66%に上り、新政権が成果を上げるには一定の時間がかかるという見方が多いようだ。

 個別の業績では、「中台関係改善への取り組み」に対しては「満足」が65%と最も高かったものの、「物価上昇への取り組み」は「満足」が28%で最低となった。また「経済問題への対応」と「漁船沈没事件への対応」は「不満」が「満足」を上回った。

 劉行政院長は19日、内閣発足1カ月の施政内容について「悪くない」と自己評価し、「今後さらに政府内部や外部とのコミュニケーションを改善し、民意の期待に近付けるよう謙虚に努力する」と語っている。

 聯合報では、馬総統は総統府と行政院の線引きを明確にしたため、評価が分かれたとしている。同紙はこの手法について、行政院で起きた問題が総統府に及ぶことを防ぎ、柔軟な対応を可能にしたと評価する一方、総統府が十分な支援を行わず、行政院が危機を処理しきれなかった場合、問題は容易に総統府まで延焼する恐れがあると指摘している。

 聯合報の調査は18~19日の夜間、電話で成人907人を対象に行われた(359人が回答拒否)。誤差は3%。

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民進党は「不合格」評価

 一方、野党民進党も同日、同党が行った世論調査(17~18日実施、回答件数795件、誤差±3.5%)の結果を発表した。馬政権発足1カ月の評価は全体で「不満」が44.2%を占め、この調査をもとに民進党は59.6点の点数を付け、「不合格」を言い渡した。

 個別項目では「物価安定策」が不満63.3%、「社会福祉の強化策」が不満44.1%、「閣僚の海外永住権保有問題への対応」が不満53.7%と、それぞれ高い不満足度を示した。

 また閣僚別では、「最もパフォーマンスの悪い閣僚は?」との質問で、欧鴻錬外交部長という回答が13.5%と最も多く、陳肇敏国防部長が13.1%で2位に付けた。ただ、欧外交部長は「最も業績の良い閣僚」でも史亜平新聞局長に次いで2位となってており、漁船事件への対応で意見が分かれたようだ。